秋篠宮殿下 穏やかに決意


立皇嗣の礼 静寂の中 厳粛に

 「務めを果たしてまいりたく存じます」。8日午前、皇居・宮殿「松の間」で厳かに行われた「立皇嗣宣明の儀」。秋篠宮殿下は穏やかな声で皇位継承順位1位の皇嗣としての決意を示された。

朝見の儀で天皇陛下に謝恩の辞を述べられる秋篠宮殿下=8日午後、皇居・宮殿「松の間」(代表撮影)

朝見の儀で天皇陛下に謝恩の辞を述べられる秋篠宮殿下=8日午後、皇居・宮殿「松の間」(代表撮影)

 午前11時、皇太子が着用する「黄丹袍(おうにのほう)」をまとった秋篠宮殿下が、同妃紀子殿下と入室し、天皇、皇后両陛下が正面中央の壇上に立たれた。「文仁親王が皇嗣であることを、広く内外に宣明します」。秋篠宮殿下の地位を宣言する天皇陛下の声が響いた。

 続いて秋篠宮殿下が紀子さまと両陛下の前に進み、穏やかながらもはっきりした口調でお言葉を読み上げられた。

 宣明の儀は約11分間で終了。新型コロナウイルスの感染防止のため、参列者はマスクを着け、間隔を空けて3列に整列し、両側の扉や障子は開けたまま行われた。

 秋篠宮殿下はその後、陛下から受け取られた皇太子の守り刀「壺切御剣」と共に儀装馬車に乗り込み、宮殿を出発。厳粛な雰囲気の中、皇嗣として初めて宮中三殿の殿上に上がり、紀子さまと皇室の祖先や神々に挙行を報告された。

 夕方、松の間で行われた「朝見の儀」には、秋篠宮殿下が勲章にえんび服姿、紀子さまがティアラにローブデコルテ姿で臨まれた。秋篠宮殿下は両陛下の前に立ち、「これからも力を尽くしてまいりたく存じます」と述べ、両陛下があいさつを返された。

 宮内庁によると、皇后陛下が公式行事であいさつされたのは2003年4月以来17年ぶり。

 両陛下と御夫妻は、黒豆と日本酒などを煮詰めた「九年酒」が注がれた杯を交わし、料理が並んだ机の前に座って、陛下から順に箸を立てる所作をされた。

 朝見の儀は20分余りで終了。宮殿で車を待つ間、御夫妻がほっとした様子で言葉を交わされ、秋篠宮殿下の表情が緩む場面も見られた。