愛媛県松山市は正岡子規が生まれた町で、…
愛媛県松山市は正岡子規が生まれた町で、俳句が盛んだ。高浜虚子、中村草田男、石田波郷と続いて、子規山脈が形成された。平成26年8月には野志克仁市長が「俳都松山」を宣言。
これはこの年に、この町で開かれた「俳句甲子園」が第17回を迎えたからで、俳句の基本17音にちなんだもの。俳句甲子園が若者たちの俳句への関心を呼び起こし、教育的価値を創造してきた意義は大きい。
今年は第20回を迎え、会場となった大街道商店街と松山市総合コミュニティセンターは句をめぐるディベートに沸いた。参加校は過去最多で25都道府県の40チーム。予選を勝ち抜いた6チームが優勝を争った。
5人1チームで、赤白に分かれ、1対1の対戦形式。評価は創作力と鑑賞力で、発表された句に対して相手チームが鑑賞、批判、質問の言葉を述べ、発表した側はそれを受けて句を弁護する。
このディベートに迫力があって、俳句を堪能し尽くそうとするエネルギーがすごい。今年は東京の開成高等学校が10回目の優勝を果たした。最優秀句は同校3年生岩田奎さんの「旅いつも雲に抜かれて大花野」。
秋草の咲き乱れた山野が若い感性で詠まれたスケールの大きな句。子規と夏目漱石の生誕150年記念大会でもあり、漱石の作品にちなんだ兼題「心」を開成高校3年の板倉健君は「ランナーの万の心臓雲の峰」と詠んだ。優秀賞を受賞した作品だ。1年がかりで取り組んだ会心作なのだ。