学齢人口の減少
「半世紀前、米国の公式文書は、独立後のインドは飛翔する直前だと言い、韓国は経済が麻痺(まひ)した無気力な国家だと言った。しかし、韓国は戦争の廃虚を乗り越えて“漢江の軌跡”を起こした。1人当たりの国内総生産(GDP)はインドとよく似た水準だったが、今は18倍だ。北朝鮮の47倍でスペインより高く、日本に追いつきつつある」
インドの有力(日刊英字)紙「タイムズ・オブ・インディア」のスワガト・ガンウリ編集委員が書いたコラムの内容だ。
同氏は「韓国は産業発展の経験がない貧しい農業国だった」と指摘しながら、“漢江の奇跡”を生んだ主要な原動力は教育だと診断した。義務教育制度と父母たちの並外れた教育熱が優秀な人材の育成につながって、国家発展の土台となったという意味だ。
昔から韓国・朝鮮民族は教育熱が高いことで有名だ。17世紀に済州島に漂流して抑留され13年後に脱出したオランダ船員ヘンドリック・ハメルは、著書『朝鮮幽囚記』の中で「朝鮮の子供たちは夜も昼も机の前に座って本を読む」として、「子供たちが本を理解し、解釈することにどれほど優れているか、感嘆するばかりだ」と記している。教育を崇(あが)め尊ぶ儒教の伝統と強い身分上昇欲は世界最高の教育熱を生み出す背景だ。
教育学の理論である教育戦争論には、乏しい天然資源、高い人口密度、制限された就職機会のため、学校に通うこと以外に他の選択の機会がない時に、学校教育をめぐる競争は戦争状態に追い込まれると書かれている。1960~70年代に学校は“すし詰め状態”だった。1クラスに70~80人は普通で、2部制、3部制の授業も日常茶飯事だった。それでも欠席は大きな罪を犯すものと考えられ、いくら体が辛くても登校するので、6年間皆勤が一般的だった。
学齢人口が減少し、非常事態となっている。2025年には幼稚園が3000カ所、初等学校(小学校)が1000校も閉鎖されるという。定員割れ状態となった地方大学は存廃を心配しなければならない状況だ。1968年にソウル市東大門区の典農初等学校の生徒数は1万230人だった。51年たった現在は901人にまで減ってしまった。学齢人口の減少は教育の危機を生む。低出産が原因だ。学齢人口を増やすこれといった方法がないので心配だ。教育の質を向上させることで危機を克服するしかないようだ。
(6月25日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。