“政治1番地”鍾路


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 青瓦台(大統領府)や政府ソウル庁舎がある鍾路は首都ソウルの中心だ。大物の政治家が多く輩出された。大統領3人(尹潽善、李明博、盧武鉉)、総理2人(李允栄、張勉)、主要政党の最高指導者5人(朴順天、兪鎮午、李敏雨、鄭大哲、丁世均)がここで“金バッジ”(議員バッジ)を付けた。住民の政治意識が高く、票が偏る現象は少ない。“政治1番地”と呼ばれるのはこのためだ。鍾路は野望が大きい政治家の挑戦舞台という意味も持っている。

 鍾路はその名にふさわしく特定の政党や党派の“票田”の役割を拒否してきた。制憲国会から8代総選挙までは独裁に対する反感から野党側の手を上げたが、経済成長期には共和党・民正党など与党に票を投じた。しかし、維新体制が長くなると野党の新民党を支援した。小選挙区制に戻った後は、李明博元大統領、朴振元議員などを相次いで当選させて保守優位の地域に分類されていたが、19、20代総選挙では共に民主党から出馬した丁世均前国会議長にバッジを付けた。

 ソウル市恩平区に住んでいた任鍾晳前大統領秘書室長が先週、鍾路区平倉洞に新しい居所を設けた。政界では、彼が総選挙で鍾路出馬を公式化したものと解釈する雰囲気だ。現在、鍾路選出議員である丁前国会議長との(出馬をめぐる)“駆け引き”が不可避となりそうだ。国会議長を務めると総選挙への不出馬を宣言するのが政界の慣行だったが、丁氏は今も選挙区の管理を旺盛に行っている。改憲論者である彼は(大統領の権限を分散し国会が選出する総理の権限を強化する)分権型政府において、実権を持つ総理になることを夢見ている。丁氏が鍾路で再出馬するかどうかは共に民主党の全体的な総選挙戦略の中で決定されるだろうというのが与党周辺の説明だ。与党の一角では、李洛淵総理の鍾路出馬の可能性も持ち上がっている。

 野党の自由韓国党では黄教安代表の出馬可能性が指摘されている。黄代表が確実に野党大統領候補の地位を固めようとすれば、鍾路で政治家として成長すべきだという主張だ。黄代表が出馬するかどうかは、共に民主党の鍾路候補選定に決定的な影響を与える要因となると見られている。結局、与野党ともに大統領選挙を念頭において、最終局面まで鍾路出馬者を選ぶために苦心するだろうという話だ。21世紀の総選挙でも鍾路は“政治1番地”の名に違わぬ役割を果たすことになりそうだ。

(6月17日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。