ユーチューブ政治
ドナルド・トランプ米大統領はマスコミを敵対勢力と見なしている。彼に不利な報道を「フェイクニュース」と決めつける。新しい政治コミュニケーションが試される米国において、それが効果を挙げている。直接の疎通という親密さが持つ吸引力のおかげだ。
トランプ氏は閣僚の解任や大統領首席補佐官の人選までツイッターを通じて知らせる。彼のフォロワーたちはニュースより早い“情報”に熱狂する。圧倒的なフォロワーが彼の政治的資産だ。フォロワーたちは一方的な主張まで真実として受け入れる傾向がある。
韓国では李在明・京畿道知事がSNS政治の達人として知られている。フェイスブックを通じて危機を克服する卓越した感覚を持っている。最近、政治的な立地が狭まると文在寅大統領の息子の「特恵就職」疑惑を提起して危機を突破した。検察すら李氏の激しい気勢に押されて、フェイスブックの実所有者の解明を断念した。女優のキム・ブソンさんがフェイスブックを通じて、李氏との“隠密な関係”をはじめ多くの疑惑を提起し、SNSの属性を十分活用して対抗したが、力不足だった。
SNS政治の強者たちは直接の疎通に命を懸ける。相手を攻撃し、攻撃目標に対する敵愾(てきがい)心を煽(あお)る言葉の駆使を第1の能力としている。迅速な波及力を十分活用して選挙の直前に荒唐無稽な主張を拡散したりもする。21世紀の惑世誣民(世を惑わし民を欺く)の政治だと批判しても、これは“能力”だと自画自賛する。マスコミの濾過(ろか)装置の役割は“歪曲(わいきょく)の枠”だと卑下する。支持者たちは後先を考えず「いいね」を付ける。
こんな世界を“クリックティビズム”(クリック+行動主義)とか“スラックティビズム”(怠け者+行動主義)と言い、“カフェツ(カカオトーク・フェイスブック・ツイッター)政治”ともいう。
盧武鉉財団の柳時敏理事長がこの新しい政治トレンドに加勢した。「惑世誣民の報道があふれている」と述べて、ユーチューブ活動を宣言した。検証責任のない場所に活動舞台を移すということだ。洪準杓・前自由韓国党代表はユーチューブに「tvホンカコーラ」チャンネルを開設した。時事対談「ホンクナイトショー」は再生回数が約30万回を超えている。今やユーチューブ政治が大勢となる見通しだ。政治家たちが責任を回避していくユーチューブの舞台がもう一つの惑世誣民の場にならないことを願うのみだ。
(12月25日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。