“ベトナムモデル”化する北朝鮮


新戦略で韓米同盟の再確立を

 朝米交渉は“半分の成功”と評価される。筆者はかつて、北朝鮮の“完全な非核化”は現実的に不可能で、現段階では凍結、非拡散、戦争抑止、朝米関係改善も進展であることを理解して、次の段階に対する戦略的思考が必要な時期だと指摘したことがある。
 米国が「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)から後退し、北と抽象的な非核化交渉で妥結することになったが、その核心的な背景は、北朝鮮が戦略的に親米国家に転換される可能性を見たためで、トランプ大統領の独特のキャラクターと結び付いて、劇的妥結が成り立ったのだ。

 これは北朝鮮の“ベトナムモデル”化と評価することができる。北朝鮮とベトナムは根本的には強い自主国家、安保的には親米非中、経済的には中国との協力拡大、労働党または共産党統制下の改革開放という共通の特長を持つことになるだろう。

 このような朝米交渉に伴う北朝鮮の“ベトナムモデル”化と関連した最も根本的な問題は、米国が今後、韓半島で南北を分割・管理する戦略を取ることになるという点だ。韓米合同軍事演習の中断は小さな始まりにすぎない。在韓米軍の縮小を含む韓米同盟の弱体化と再編という深刻な衝撃に直面することになるだろう。

 北朝鮮の完全な非核化が実現されると信じるのはあまりにもナイーブだ。北朝鮮は約30年間の先軍思想、核国家戦略路線の総括という性格を持った4月の労働党中央委員会総会で、核・経済並進路線の終結でなく勝利宣言を行った。だから核軍縮の観点から非核化協議に入るというのである。

 中国はこのような北朝鮮の立場を十分に理解しており、朝米交渉の結果、北朝鮮が親米に傾くことに対する対応戦略として、6月19日の朝中首脳会談で北朝鮮との戦略戦術的な協力を宣言したのだ。

 こうした動きは韓国の外交安保情の位置付けを弱める。新しい国家外交安保戦略の樹立が切実に求められる。そのためには世界情勢と東北アジア情勢が冷戦時代と脱冷戦時代を経て、米トランプ時代の経済民族主義と習近平の中華民族主義を含んだ新しい民族主義競争時代であることを明確に認識しなければならない。

 核国家、戦略国家化した北朝鮮との新しい体制競争が始まったことを韓国は認識しなければならない。韓米同盟を新しい時代的な条件に合わせて再確立・発展させることが必要であり、米国のインド太平洋戦略に対する理解に基づいて、韓米日協力に対する具体的な政策も必要になる。

(具海祐(クヘウ)未来戦略研究院理事長、6月29日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。