核搭載可能の新型ICBM 中国、配備間近か

ビル・ガーツ

 中国が5月27日に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)DF41の試験発射を実施したことが明らかになった。昨年11月に続く試射は10回目となり、核搭載可能で大型のDF41の完成は間近とみられている。

 米国防当局者によると、中国北部の太原(たいげん)衛星発射センターから発射されたミサイルは、ゴビ砂漠上空を飛行し、数千キロ離れた射爆場に着弾した。

 DF41は、別々の目標を攻撃可能な小型弾頭(MIRV)10発を搭載できる。中国国営メディアによると、小型核弾頭の出力は1発当たり150キロトンで、5・5メガトンの大型弾頭1発を搭載することも可能だという。

 米国全域を攻撃可能で、車両移動式であるため発見されにくく、米国の戦略核抑止力にとって深刻な脅威となり得る。中国共産党系の人民日報は昨年12月、DF41は射程1万2000キロで、2018年中に配備される見込みと報じていた。

 米中関係は、南シナ海の軍事拠点化、貿易をめぐる対立などで緊張が高まっている。試射は、ロス米商務長官率いる通商代表団が中国を訪問する直前のタイミングで実施された。中国は3日に、米政府が発表通り中国製品に500億ドルの関税をかければ、これまでの貿易合意を無効にすると警告するなど、貿易をめぐる両国の緊張が高まっている。

 昨年11月6日に前回の試射が行われたのは、トランプ大統領訪中の2日前だった。アナリストらは、トランプ氏訪中前に意図的に軍事力を誇示したものと指摘している。昨年発表された全米航空宇宙情報センターの報告は「米国の脅威となり得る中国のICBM搭載核弾頭は今後5年で100発を超えるとみられる」と指摘、中国の戦略ロケット軍は「依然、世界で最も精力的に弾道ミサイルの開発を進めている」と警告している。

 国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー上級研究員は、10回目の試射は大きな節目であり「配備が近づいていることを示す」と指摘、「今後、中国が開発を進めている誘導可能な極超音速滑空飛翔体が搭載できるようになる可能性もある」と強調した。

 米国は短時間で地球上のいかなる地点も攻撃可能にすることを目指す「即時全地球打撃(PGS)」計画を進めていたが、中国の極超音速滑空飛翔(ひしょう)体が完成すれば、米国に先立ってその能力を中国が持つことになる。