別荘で串焼きに舌鼓
地球だより
年間を通して、日照時間の少ないロシアで、最大の楽しみは日光の下で自然に返ること。近年、ロシア人の夏の長期休暇の過ごし方は、海外旅行やクリミア半島旅行が人気となってきたが、一般庶民は相も変わらず別荘(ダーチャ)文化に酔いしれ、土と親しんでいる。
6月頃から夏野菜を栽培し始め夏が終わる頃に、ジャガイモの苗を植え冬の食料貯蓄に備え、短い秋に入るまで別荘生活を満喫する。大概は早朝から土を耕し、長い昼寝の時間をとる。
特に楽しいのは、客を迎えてのシャシリク(中央アジア式のバーベキュー)パーティーだ。本当に家族的な時間を持てる場となる。週末に都会生活から抜け出し、セカンドハウスで自給自足生活に入るのだ。
シャシリクは、旧ソ連圏に大衆料理として広まったが、家庭によりレシピが異なる。アルメニア系の友人秘伝のレシピは、生肉を大量の玉ねぎとともに何種類かの薬味とコニャック、ケフェール(ヨーグルトに似た乳製品)を加え一晩漬け込む。こうすると肉は非常に柔らかくなる。
この肉の塊を串刺しにして、炭酸水を肉にまぶしながら野菜とともに炭火でよく焼き上げる。味は少々酸味を感じるが、今まで食べた中で最高の旨味のあるものだった。
できれば一度、ロシアのダーチャ体験を満悦していただきたいものだ。庶民的なロシアの風物詩と家庭的な雰囲気が忘れられないものとなる。
(N)