米駆逐艦衝突事故、コンテナ船は衝突時自動航行だった
米海軍当局者は、米駆逐艦「フィッツジェラルド」(8315㌧)と伊豆沖で衝突したフィリピン船籍のコンテナ船「ACXクリスタル」(2万9060㌧)は事故当時、自動航行しており、船橋には誰もいなかった可能性があると指摘した。
調査官らによると今のところ、衝突が意図的であった証拠は見つかっていないという。しかし、自動航行中の事故であることから、システムがハッキングされ、衝突させられた可能性も指摘されているという。また、自動航行システムの不具合、または、危険を知らせる警報が見逃された可能性もある。
衝突が起きたのは午前1時半ごろだが、ACXクリスタルから通報があったのは午前2時25分。調査官らは、通報が遅れたのは、乗組員が衝突したことを知らなかったためとみている。
民間の船舶の自動航行システムは通常、手動で航路を入力する必要がある。電子海図システムと同期させて、航行プランに従って航行させることも可能だ。
ACXクリスタルの船舶自動識別装置(AIS)の記録によると、コンテナ船は午前1時32分から34分の間に右に90度進路を変え、わずかに減速、その後、左に旋回したあと、本来の北東方向の航路に戻っている。
海軍アナリストのステファン・ワトキンス氏は、航路から自動航行していたことが分かると指摘した。「ACXクリスタルは、午前1時半ごろに航路から外れ、元に戻ろうとした。航路から外れたのは、フィッツジェラルドとの衝突のためだろう。同時に、ひっかかった水面下の船首を外そうとエンジン出力を上げた」と分析している。
その後15分間航行を続け、加速、減速し、Uターンしており、ワトキンス氏によると「これは、自動航行システムが稼働していたことを示している。人が操縦していれば、他の船との衝突時に加速したり、本来の航路に戻ろうとしたりはしないからだ」と述べた。
ワトキンス氏はさらに、通報が遅れたことは、衝突時に船橋が無人だったことを示していると指摘した。
フィッツジェラルドのAISの記録は入手できないため、事故時の航路も公開されていない。











