お年寄りと子供に優しい国
地球だより
ロシアに住んでいて、すごくいいと思うことの一つは、お年寄りや、小さな子供連れに、人々がとても親切なことだ。
お年寄りが電車やバスに乗車してくると、若者が必ずといっていいほど席を譲る。ごくたまに席を譲らない若者もいるのだが、そういうときは乗り合わせたロシアのおばちゃんが黙っていない。
小さな子供連れにも、人々はとても親切だ。筆者がまだ小さい子供を抱っこして満員の電車やバスに乗ると、近くの人がすぐに席を譲ってくれる。席を譲ってくれた後も、周りの人たちが子供を笑わせてくれたり、遊んでくれたりする。子供だけでなく、子供を連れた親に対する心配りも忘れない。筆者はいつも感謝している。
先日、子供を連れて満員のバスに乗った。いつも通り親切な人が席を譲ってくれた。目的地に着いてバスを降りた後、ズボンの後ろポケットに入れていた財布が無いことに気がついた。
てっきりスリにやられたかと思っていると、見知らぬ女性から携帯に電話があった。何でも、筆者が立ち去った後に、座席に落ちていたという。子供をあやしているうちに、ポケットから落ちてしまったようだ。その女性は、財布の中にあった名刺を見て電話をしてくれたのだ。
「次のバスで受け取りに行きます」と言うと、女性は「あなた小さな子供を連れて大変でしょう」という。そして、わざわざ反対方向のバスに乗り、私たちが下車したバス停まで戻ってきてくれたのだ。60歳ぐらいの女性で、小学生の孫を連れていた。もちろん財布の中身はそのままだった。
(N)