企業内保育所
政府が待機児童解消の目玉とする企業内保育所制度が始まった。政府が示した制度の詳細をみると、認可並みの補助金を出すのに加え、認可よりも保育士や定員の基準を緩和させ、設置の手続きも簡素化される。女性を雇用したい企業側の関心は高いという。
預ける親は、昼休みに子供の様子を見ることができるので安心というメリットがあるが、子連れでの電車通勤はかなり負担がある。先日もラッシュ時の車内で一斉に携帯の地震警報音が鳴り響いた。その日は10分ほどで安全確認が終わったが、万が一のことを想定すると子連れ通勤には不安が多い。
企業内保育所は全国約4600カ所あるが、人数が集まらず5年で閉所する保育所もあって、思うほど増えていない。その理由は、子供の成長に合わせて、園庭などの保育環境を整えにくい、同年齢の友達ができにくいといったことがある。勤務時間にあわせて、24時間、長時間保育対応できるのは企業には好都合であっても、子供には辛い。
月刊誌『wedge』(5月号)が「女はつらいよ 待機児童だけじゃない」というキャッチコピーで特集を組んでいた。長時間労働が常態化する企業社会で、子育てママがキャリアを積んでいく厳しい現実がリポートされている。
雑誌の中で、鈴木亘学習院大学教授が待機児童解消の五つの即効策を提案している。氏は保育自由化論者だが、0歳児の保育料引き上げなど、育休を繰り上げて0歳から入所させないように、実質1歳スタートを提案している。0歳入所しても、1歳で再度審査を行い、その際、0歳児を家庭で育てた親のポイントを高くするというものだ。
待機児童の多くは0歳、1歳の低年齢児。これを企業内保育所で約5万人分供給できるというのは机上の論に思える。供給を増やすより0歳児の保育需要を増やさない対策を考えたほうがいい。(光)