サングラスと犯罪
韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」
1950年9月15日、仁川上陸作戦を指揮した艦上のダグラス・マッカーサー国連軍最高司令官、1961年5月18日、陸軍士官学校の生徒たちの5・16軍事革命支持デモを見守る朴正煕少将、2004年11月25日、日本の成田空港を麻痺(まひ)させた“ヨン様”ことペ・ヨンジュン、2015年7月30日、映画『ミッション・インポッシブル5』PRのため訪韓したハリウッドスター、トム・クルーズの共通点は何か。サングラスをかけていることだ。朴正煕は1961年11月、米国を訪問してジョン・F・ケネディ大統領と会談した時もサングラスをかけて、彼を象徴するアイコンとなった。
風刺画家たちの絵の中にいつも登場する黒いサングラスは、情報機関員を象徴する。しかし、サングラスが必ずしも権力や独裁者のような否定的なイメージだけ持っているわけではない。色と関係なく、サングラスは女性たちにとってはハンドバッグや靴と共にファッションの完成だ。オシャレが好きな若い男女にとっては(紺の)ジーンズ、白いシャツに黒いサングラスはロマンだ。
サングラスの起源は古代中国の法官が訴訟時、被告に表情を隠すために使った煙水晶の眼鏡だ。公正な判決を導くための道具だったのだ。重要人物の身辺警護員や板門店で勤務する憲兵たちも相手に瞳を見られないようにサングラスをかける。わが国にサングラスが本格的に紹介されたのは、光復(日本からの解放)直後、米軍によってだ。サングラスの虜(とりこ)になった一部の無邪気な若者たちは、普通のメガネに墨汁を塗ってサングラスのようにしてかけて歩いたという。前が見えなかったはずだが。
サングラスの元来の用途は強い日光などから目を保護することだ。瞳が黒褐色の韓国人は大概の日光ではまぶしくないので、サングラスをかける必要がない。それで主に美容とファッション目的に使われる。しかし、サングラスも意図しなかった「第3の用途」がある。他ならぬ犯罪の道具だ。現金自動預け払い機(ATM)を利用する時、必ずサングラスをかける人がいる。かなりの割合で、犯罪者である可能性が高い。加えてMERS(マーズ)騒動の時に必須だったマスクまでかけて現れれば、間違いなく振り込め詐欺の「出し子」だ。もちろん医療用のサングラスをかけた人は例外だ。
近くサングラスをかけたATM利用者がいなくなるようだ。金融監督院がATMに顔認証システムを追加して、サングラスやマスクで顔を覆うと動かないようにする予定だ。常に一歩先を進む犯罪者たちだが、今度はどんな小細工を使うのか、今から気になるところだ。
(8月19日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。