“ダイエット共和国”


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 ダイエットは歳月が流れて変質した。ダイエットは元来、健康のために体重を少し減らしたり制限された食事をすることを意味した。すらりとした体がすなわち「ファッションであり競争力」となってしまった今日、健康より体重の減量がもっと重要な目的になってしまった。

 最近、ある研究調査の結果、わが国の10代から50代以上の女性が1年間にダイエットを試みる回数は平均4回に達した。支出する費用は43万ウォンぐらい。“ダイエット共和国”と言っても差し支えないようだ。

 ダイエットの方法もさまざまだ。風船ダイエットは1日に10回ぐらい風船を頭の大きさ程度に膨らますもの。十分な酸素を吸い込むので代謝が活発になり、体温が上昇して脂肪を消耗するようになるという。音楽ダイエットは、くつろげるイスに座って音楽を40~50分くらい聴くと緊張がほぐれ、体が最適の状態に維持されてやせるというもの。ダイエットメガネの登場はもう昔の話となった。このメガネをかけると飲食物が実際より大きく見えて、少なく食べるようになるとか。みんな奇抜だが、これからどんなものが出てくるか気に掛かる。

 問題はダイエットに成功するのが簡単でないというところにある。わが国の20代女性の場合、1年に5回ほどダイエットを決心するものの、なかなか1週間を超えられないことが明らかになった。やせることにだけ神経を使うので、苦しいプロセスを耐えるのが容易でないためだ。

 そう考えると、ちょうど数日前に無理なダイエットをして死亡した20代の女性はどれだけ多くの苦痛を味わっただろうか。その女性は昨年1月、132キログラムの最高度肥満から体重を56キログラムまで減量するのに成功したとして、ケーブルテレビで紹介された。彼女は死亡する直前まで必死で続けたダイエットの副作用で、まったく飲食できない苦しみを味わっていたといわれている。

 スタイルもこの世を生き抜く競争力になった今日、ただ「内面を陶冶しろ」とだけ言えないのが現実だ。とはいっても、無理なダイエットは副作用を生む。いくら美人の基準が変わったといっても、やせっぽちよりは少し太って見える方が他人が見ても、自分にとってもいいはずだ。死ぬよりはやはり、生きている方がましだから。

(韓国紙「セゲイルボ」9月27日付)