韓国史の「国定教科書」復活


韓国紙セゲイルボを読む

消耗的論争に終止符を

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9月16日、「右傾化」批判や脅迫で韓国高校歴史教科書の出版を放棄したいと執筆陣に伝えたことを明らかにした教学社の役員ら(ソウル市の同社で、上田勇実撮影)

 「歴史教科書の生命は事実関係を正確に記述することです。特定の歴史観を問題視する一方で、みな教科書は自分たちが正しいと考える歴史だけを教えるのではないという点を明確に認識しなければなりません」

 歴史教科書執筆基準開発委員会委員長を務めた李益柱ソウル市立大教授(国史学)は13日、記者との電話通話でこう語り、最近、教学社の韓国史教科書(注)をめぐって膨らんだ社会的論議と葛藤に残念さを隠すことができなかった。

 歴史教科書は生徒たちが正しい歴史観を確立するように、誰でも共感する学問的研究成果を忠実に反映することが重要であり、特定の歴史観や政治的信念を入れれば危険だというのが李教授の主張だ。

 5年前には李明博政府が“左偏向”歴史教育を正すとして、金星出版社などの「近・現代史」教科書に手を付けて、国論が二つに割れたことがあった。2011年にも、政府が歴史教育課程と中学歴史教科書執筆基準を保守的見解で手直しして物議を醸したこともあった。

 高校歴史教科書は2002年、検認定(韓国近・現代史)体制に変わる前までは国定体制であった。検認定制度を導入したのは、国家が全てのものを思うままにするという発想から抜け出して、学者らの多様な意見を尊重するというのが理由であった。しかし、それが問題になった。特に韓国史の場合、消耗的な論争を生んでいる。それなら、韓国史を国定教科書に戻す案はどうだろうか。

 韓国史は高校必須教育課程なのに加え、2017年度から大学修学能力試験(日本のセンター試験に相当)で必修科目になる。単一の国定教科書で韓国史を教えれば、試験での「二重正解」を認めるかどうかといった議論も避けることができる。代わりに学校現場では、多様な見解の韓国史補助教材を活用するようにすれば良い。

 もちろん国定教科書への転換には大前提がある。教科書執筆に学界と教育界が認めた専門家を参加させて、政府など外部の影響を徹底的に遮断しなければならない。昨今の消耗的論争を終わらせるために、発想の転換が必要な時だ。

(李ガンウン社会部記者、10月1日付)

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(注)教学社の歴史教科書=日本植民地時代の功績も認める内容が含まれ、左派から「親日」「歪曲」と攻撃を受けている高校の歴史教科書