修能試験と軍入隊


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 30年前に軍隊生活をした記者には、とりわけ忘れられない同僚がいる。軍隊生活を立派に務めた中卒の兵士たちだ。当時、現役で入隊しようとすれば身体検査で1~3級の判定が必要で、4級は防衛(防衛産業での勤務)、5級は兵役免除だった。現役兵の対象も学歴による差があった。中卒は1級、高卒は2級、大学生は3級までが現役だった。今でこそ兵役の志願者不足により、十分ふるいにかけないため軍隊生活に適応できなかったり心理的に問題がある“関心兵士”(保護関心の必要な特別管理対象の兵士)が続出しているが、当時は身体検査を受けた半分だけが現役兵の“栄光”を享受できる時代だった。

 中卒の兵士たちは身体条件がずば抜けていた。図体がデカくて丈夫で医務隊(衛生科部隊)の世話になることがほとんどなかった。健康な身体は苦しい肉体訓練が多い軍隊生活にぴったりだった。精神面の健康も彼らの強みだった。何より上意下達の軍隊規律によく順応した。軍隊の不適応者、すなわち“顧問官”が多かった大学生出身兵とはまったく違っていた。頭でっかちで不合理なことに耐えられない大学生出身は軍隊の不適応者になりやすかった。

 “軍隊生活体質”との声を一番多く聞いたのが中卒だった。当然、小隊の生活と軍紀を正す役割は中卒兵が多かった。学力と軍隊生活が正比例しない事実を当時、痛感した。しかし、中卒兵は大学生出身の同期が転役する時に、ひどい相対的剥奪感を感じなければならない。大学生出身は教練恵沢を受けて27カ月だけ服務するが、自分たちは30カ月きっかり務めなければならないためだ。軍隊で3カ月といえば天国と地獄を3、4回は行き来できる長い時間だ。記者が転役待機していた時、武装して遊撃場に向かう中高卒同期2人の寂しそうな表情が忘れられない。

 今は人気のある軍隊に行こうとすれば、高校の内申や修能試験(大学センター試験に相当)の成績が良くなければならない。週末の外出が多く危険度が小さい空軍、海軍等の主要選抜基準が内申と修能の成績であるためだ。年初に入隊する空軍一般兵の30%以上が「スカイ」(SKY=ソウル、高麗、延世の3大学)出身の大学生だという。

 大学入試の修能試験は“良い”軍隊に行くためにもいい点数が必要な世の中になった。高校時代の国語、英語、数学、国史の点数が軍の生活に必要な素養とどんな相関関係があるというのか。高校の成績が良くないと、より危険で厳しい軍隊で服務する国家が果たして公正な社会なのか。

 (10月13日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。