ウクライナ国民の叫び伝わる オーストリアから


地球だより

26日、ウクライナ南部からフェリーでドナウ川を渡り、ルーマニアへ入国する人々(AFP時事)

 ウィーンからウクライナの首都キエフまで1000キロ余り。そのキエフがロシア軍の攻撃を受けた。もちろん砲声は聞こえてこないが、ウクライナ国民の叫びが伝わってくる。

 在ウィーンには約1万2000人のウクライナ人が住んでいる。彼らはロシア軍の侵攻が伝わると、母国に住む家族や友人たちに連絡を取り合っている。オーストリアの通信会社はウクライナへの通話を無料サービス。慈善団体カリタスは救援物質を送り、オーストリア国営放送はウクライナへの支援金キャンペーンを始めた。

 ウィーンのローマ・カトリック教会やウクライナ正教会では信者たちがウクライナ国民のための祈祷会を開催する一方、在ウィーンのロシア大使館前でプーチン大統領のウクライナ侵攻に抗議するデモ集会が行われた。

 ポーランドのワルシャワからの情報では、避難してきたウクライナ人が26日現在、既に10万人を超えたという。ほぼ全てが女性と子供、60歳以上の高齢者だ。18歳から60歳までの男性はウクライナに留まり、ロシア軍との戦いに参戦。ちなみに、ポーランドには欧州最大のウクライナ・コミュニティーがある。

 中東、北アフリカから殺到した難民・移民に対しては厳格な制限を実施したオーストリアだが、ウクライナ危機では内務省はウクライナ避難民の受け入れを早々と表明している。

 新型コロナウイルスの感染はまだ収まっていないが、欧州ではウクライナ問題がコロナ問題を一時的だとしても吹き飛ばしてしまった感じだ。(O)