高級介護施設に激震ーフランスから
地球だより
フランスを中心に高級高齢者施設を運営する「オルペア」の施設内で、入所者に対する虐待や衛生管理の不備の疑惑が浮上し、連日、大きな騒ぎになっている。1月末には運営会社の会長兼CEOが解任され、利用者や家族による訴訟が相次いでいる。
月額1000ユーロ(約130万円)もの利用料が掛かる高齢者介護施設は当然、富裕層に利用者は限られている。さぞ手厚い介護を受けながら、人生の終末期を優雅に過ごしていると思われていたが、とんでもない虐待行為や、おむつ取り換えは1日3回だけという不衛生な状態が暴露された。
フリージャーナリストのビクトル・カスタネ氏が、入居者とその家族や、施設の元関係者の証言を基に、著書「墓掘り人」で実態を明らかにした。
カスタネ氏は出版前、1500万ユーロ(約19億円)で出版を取りやめるよう仲介人を介して話があったとされる。それでも暴露されるよりは安いとオルペアは考えたのだろうとメディアは指摘している。
オルペアはフランス国内の350の施設を含め、世界各地で1200以上の施設を運営する大手。一方、入居者も富裕層なので訴訟費用も潤沢という構図だ。同書によると人件費節約のため臨時職員を雇い、補助金が減らないよううその実績を報告していたという。同社は第三者機関に実態調査を依頼したというが、手抜きサービスで暴利をむさぼる大企業対富裕層利用者の構図は大衆心理の嫉妬心も刺激し、大注目されている。(A)