日本食フード革命 ーオーストリアから


オーストリア

 豆腐、納豆、シイタケ、酒、ワサビ、日本食の代表的な食品や食材がオーストリアで買えるようになる日がくるとは考えもしなかった。しかも日本からの輸入品ではなく、「オーストリア人のオーストリア人によるオーストリア人のため」に国内生産の日本食であり、食材なのだ。「フード革命」と呼んでも可笑(おか)しくない。

 日本食といえば、昔は日本から海路でオランダに輸入されてきた日本食をドイツのデュッセルドルフ経由でウィーンに運ばれ、それを日本食品店で買うわけだが、値段はどうしても高くなる。「日本食が好きだ」というオーストリア人でも、さすがに納豆を食べる人は少ないはずだが、ニーダーエステライヒ州で納豆生産会社が出てきた。

 シイタケはザルツブルク州で作られている。1キロ25ユーロと少々高いが、立派なシイタケだ。酒飲みにとっての朗報は日本酒が飲めることだ。「アルペン・サケ」と呼ばれる。2019年に最初のアルペン・サケが市場に登場した。豆腐はオーストリアでは皆知っている健康食の一つだ。その豆腐を製造している会社も少なくない。豆腐を利用した料理法も工夫されてきた。「味がない」ということで敬遠されてきた豆腐は、今は健康食ブームに乗って消費量が年々増えている。絹ごし豆腐に醤油とネギを付けて楽しむオーストリア人も出てきた。

 それだけではない。ブルゲンラント州では何とワサビを栽培して売り出す会社が出てきた。オーストリア人も大好きな寿司にワサビは欠かせない。チリソースやセンフなどピリッとした調味料が好きなオーストリア人は自国産ワサビが乗った寿司に舌鼓を打っている。(O)