借金投資ブーム
投資と投機の違いは何か。私が行えば“投資”で、他人がすれば“投機”なのか。両方とも違う。ノーベル賞受賞者で近代経済学の父と呼ばれるポール・サミュエルソンは「まともな投資は、芝生が育つのを見ること」だと言った。芝生が育つのを見ることほど退屈なことはない。大部分の人々は面白ずくで株式を売り買いするのが投資だと誤認している。
KOSPI(韓国総合株価指数)は昨日、一時3200を突破するほど活況が続き、無計画な投資が急増している。“株式3食”(1日3回取引)、“5チギ”(1日収益5万ウォン)、“チュリニ”(子供が株式投資をすること)などの新用語まで登場した。就職難に落胆した青年が銀行口座より証券口座を先に開設する。軍部隊の生活空間でもスマートフォンで株価の動向を見て一喜一憂する“兵隊アリ”(個人投資家を「アリ」と呼んでいる)が非常に多い。
「株価急騰から自分だけ取り残されるかもしれない」という FOMO(fear of missing out)症候群が無計画な投資を煽(あお)っている。借金して株式投資した結果、信用取引残高が20兆ウォンを超えた。大型株を購入した大手の投資家はまだましだ。KOSDAQ(ベンチャー向け株式市場)など中小型株に投資した人たちは喪失感に苛まれている。最近、1週間に8~9%の上昇ラリーを見せたKOSPIと違いKOSDAQは今年の累積上昇率が2%にとどまる。安いと思うと無計画に飛びつくのは不動産も同じだ。限界までローンを組んで不動産に投資するブームによって、アパート(マンション)はもちろんビラ(連立住宅)まで昨年は価格の年間上昇率が6・47%に達した。12年ぶりの最高値だ。“ポピュリズム”政府が国家の債務をむやみに増やし国を債務漬けにしている状況なので、何とも言いようがない。
新型コロナウイルスで実物経済がどん底の状況でも、国内の証券市場は流動性の力で踏ん張っている。乱高下の激しい株式を借金で売買するのは危険だ。専門家ですら“チキンゲーム”が始まったと言っている。いつか暴落相場になるかもしれないが、今は「粘る者が勝つ」、「今からでも飛び乗るべきだ」という集団催眠が大韓民国を支配している。世の中にタダはない。大儲けを狙う無計画な借金投資は“大損”になる恐れがある。株式は未来の価値を十分検討した後に、余裕資金で長期投資すべきだ。
(1月12日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。