“稲妻”コロナ
新型コロナウイルスは稲妻より速い。“稲妻男”ウサイン・ボルトが一昨日、ベッドに横たわる動画をインスタグラムにアップし、「コロナの検査を受けて、自宅隔離中」だと伝えた。ジャマイカのマスコミはボルトがコロナ陽性の判定を受けたと報道した。陸上男子100㍍と200㍍の世界新記録を保有するボルトは地球上で一番速い選手だ。コロナの威力は恐ろしい波及力にある。現在、全世界の感染者は218カ国で2000万人を優に超えた。モンゴル帝国全盛期の領土より広く、千里馬(1日に千里走れる良馬)より速度が速い。
コロナは公平だ。偉いスーパースターであれ無名の人間であれ差別することがない。国家首班のボリス・ジョンソン英国首相とホンジュラスのフアン・オルランド・エルナンデス大統領はコロナに感染して、なすすべもなく病院の世話になった。米ハリウッドの俳優たちも例外になれなかった。トム・ハンクス夫妻はオーストラリアで映画を撮影している途中に感染が確認された。この世の誰でも注意を怠ると感染のどん底に陥るのは一瞬だ。
コロナ時代に重視される美徳は順法だ。コロナ拡散を防ぐ最善の道はマスクを着けて、ソーシャルディスタンスを保つことを実践することだ。コロナウイルスはこのような防疫のための約束事を守らない人間には情け容赦ない。ボルトも先週34回目の誕生日パーティーを盛大に開いたのが禍根だった。パーティー参加者たちはマスクも着けず、密接に身体接触をしていたという。
国内では最近、コロナ防疫をめぐっても保革の差別待遇論争が起こっている。8・15光復節に開かれた保守団体の光化門(カンファムン)(朝鮮王朝の正宮・景福宮の正門)集会と民主労総の普信閣(ポシンカク)(ソウルの鍾路にある鐘閣)集会にそれぞれ異なる防疫基準を適用したという非難が殺到している。光化門集会の参加者たちにはいちいち感染経路を追跡しながら、普信閣集会参加者には検査すらしなかったというのだ。法治の公正さを無にする二重の基準だ。甚だしくは、行政当局が普信閣集会に参加した感染者を光化門集会の参加者にこっそり置き換えることまであった。それでも大統領は防疫に非協力的な人々に向かって「公権力の厳重さを打ち立てる」と叫んでいる。崩れた公平と順法によっては稲妻より速いウイルスを捕らえることはできない。地上で最も小さい生命体が万物の霊長を自称する人間の行動を嘲笑している。
(8月26日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。