不動産モグラ


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 地中に穴を掘って住むモグラは、害虫を捕まえて食べはするが、創作物に大きな被害を与える。小さな体に似合わず、ひときわ前足が発達している。土の中をかき分けながら生存しようという進化の痕跡だ。

 あちこちに頭を出すモグラをピコピコハンマーで叩(たた)いて捕まえるモグラ叩きは昔の郷愁を呼び起こす。ストレス解消ゲームの対象だったモグラが韓国の不動産市場で暗躍している。政府の規制が手薄なところを探して不動産価格の上昇をリードしながら、モグラのように頭を出す“風船効果”だ。特定地域の不動産価格の過熱を抑制したかと思うと、すぐさま投機の需要が移って、他の地域の不動産価格を引き上げる風船効果の問題は、きのうやきょうのことではない。

 モグラ叩きでは腕の力が抜けてきてピコピコハンマーを打ち下ろす速度が遅くなると、モグラの動きはいっそう速くなり、動く領域も拡大する。これと同じように銀行などの貸出規制を強化すると、保険会社・貯蓄銀行など第2金融圏の資金まで巻き込む。

 不動産が各種新造語の量産機だと呼ばれるようになって久しい。不動産価格上昇の震源地として“バブルセブン”(ソウル江南の江南、瑞草、松坡、木洞と京畿道の盆唐、龍仁、坪村)、“麻龍城(マヨンソン)”(ソウル江北の麻浦、龍山、城東)に続き、最近は“水龍城(スヨンソン)”(京畿道の水原、龍仁、城南)という言葉が出ている。これらに対する規制の噂が出ると、“華九光(ファググァン)”(華城、九里、光明)まで登場した。政府が不動産市場の過熱を防ぐために繰り出す対策も“顕微鏡”“ピンセット”など千差万別だ。

 大統領府と政府・与党が定例高位級協議会を開いて“水龍城”の不動産規制問題をめぐって頭を突き合せたが、結論を出せなかった。与党が来る4・15総選挙の“票心”に影響を与える恐れがあると反対したのだという。投機の根絶が目的でも、貸し渋りに遭う実需要者と増税になる庶民たちが喜ぶはずはない。ここに政治論理が入り込んだわけだ。貸出規制を全面再検討するともいう。へたをすると“不動産狂風”時代に戻るのではないかと心配だ。

 不動産モグラは早晩、“麻龍城”“水龍城”という地域区を越えて全国区で活躍するかもしれない。モグラは、政権が変わる度に右往左往する不動産政策をあざ笑うかのようにかき分けて動き回る。こんな政治が存在する限り、不動産モグラの捕獲は程遠いようだ。

 (2月18日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。