メガネをかけた女性


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 メガネがいつ誰によって作られたかは明確でない。11世紀ヨーロッパの修道士たちが文章を読むために発明したともいい、中国で初めて使われたという主張もある。視力矯正用のメガネはだいたい13世紀のヨーロッパで普及し始めたものと推定される。わが国では16世紀に伝わってきた。『新増東国輿地勝覧』(朝鮮中期の官撰人文地理書)によると、朝鮮時代の漢陽城内にメガネを売る店舗である“眼鏡房”があった。同書は1530年(中宗25年)に完成したので、それ以前にメガネがかなり普及していたことが分かる。

 朝鮮時代に年長者たちの前ではメガネなどを外すのが礼儀だった。19世紀の後半に李裕元が書いた『林下筆記』には、当代の宰相を務めた趙斗淳が憲宗(第24代王)と哲宗(第25代王)の御真影を見る時にメガネをかけて見るように命令されたが、最後までかけなかったという目撃談が入っている。18世紀初めの金元行(朝鮮後期の文臣・学者)の手紙には「君王の前で経書を講義する時、文字がよく見えないといって、どうしてメガネをかけることができようか(とてもメガネをかけることはできない)」と語ったとの記録が残っている。1970年代までをみても、田舎の町や村では年長者と会う時にメガネを外す人たちがいた。

 世界3位の経済大国であり、アジアで最も早く近代化したと自負する日本には今も時代遅れの“メガネ・タブー”が残っているようだ。外信によると、日本のある会社で女性社員に限り、職場内でメガネ着用を禁止するとの規制を社内放送で流すと、女性社員たちが反発するなど騒動が起こっている。今年初めには日本の諸企業が女性社員にハイヒールを履くよう強要して服装規定の改善請願運動まで起こっている。

 わが国では昨年、テレビの地上波放送で初めてMBCアナウンサーのイム・ヒョンジュ氏がメガネをかけて番組の司会をして話題になった。2016年の眼科分野の学術誌『Ophthalmology』に掲載された論文は、「2050年頃、近視でメガネが必要になる人口は全体の50%ほどにあたる48億人に達するだろう」と展望している。このような現実の中で、女性がメガネをかけることを問題にするならば、後進的で未成熟な社会だと言うしかないだろう。世界経済フォーラム(WEF)の2018年「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は149カ国のうち下位圏の110位だ。

(11月13日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。