一流製造業の神戸製鋼所や日産自動車、…
一流製造業の神戸製鋼所や日産自動車、SUBARUで、不正行為が次々と明るみに出てきた。神戸製鋼ではアルミ・銅・鉄粉製品などのデータ改竄(かいざん)が判明した。
自動車や鉄道などは国が定めた安全基準と比べて強度に余裕を持って設計している。神戸製鋼はこうした納入先の安全性の確保策を軽視し、「この程度の改竄なら問題はないだろう」という安易な考えが社内にはびこっていた可能性もある。
事の真相は、当該企業の今後の自浄作用の中で明らかにすべきだが、今回のスキャンダルは“ざわつく”材料業界を象徴している。世界規模でレアメタル(希少金属)の争奪戦が激しくなる中、同業界はこのところ、急激に存在感を増している。
日本鉱業協会会長の中里佳明・住友金属鉱山社長は「日本経済を牽引(けんいん)する自動車や電子部品の会社は、いかに材料の確保が大事かを理解している」と強調している。
例えば自動車を取り上げると、その車体、部品の材料は、鉄の塊というイメージを一変させている。現在開催中の「東京モーターショー」を見るまでもなく、電気自動車の時代を迎え、自動車業界は車体軽量化のための素材探しに躍起だ。
その要求に応え一挙に業績を挙げようとしているのが、神戸製鋼などの素材メーカーで、新しい材料・素材の開発資金は膨大なものになっている。半面、従来の金属・非金属製品の管理が手薄、粗雑になっているのではないかと危惧される。