トランプ米新政権はエネルギー政策について…
トランプ米新政権はエネルギー政策について、自国の石油・天然ガス開発を支援し、石油輸出国機構(OPEC)などへのエネルギー依存からの脱却を公約に掲げた。
そのことで経済協力開発機構(OECD)諸国のうち8位の1次エネルギー自給率(85・0%)の底上げを狙い、資源開発支援で税収を増やして社会資本整備の財源確保を目指すという。自給率向上の方向性は間違っていない。
これに対し、もともと資源の乏しい日本はエネルギー自給率がわずか6%(2012年)。これはOECD加盟34カ国中、2番目に低い水準だ。電力についても、発電のためのエネルギー源を海外からの化石燃料に依存しており、東日本大震災以降、その割合は急激に高くなった。
こうした現状で、今後「世界の真ん中で輝く国創り」(安倍晋三首相の施政方針演説)へ進めるのかどうか。わが国の戦後のエネルギー政策の方向性は、1955年に制定された「原子力基本法」をもって事実上決定された。
同法は原子力の研究・開発によって将来におけるエネルギー資源を確保すること、それをもって人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与することを目的とした。
それが今日、原発再稼働がなかなか進まず、高速増殖炉の開発もままならない。原子力利用の急速な縮小が懸念される。戦後の原子力政策を不当と見なす政党は、まず国民を納得させることのできる確たるエネルギー政策を提示すべきだ。