GDP減速、官民挙げて景気下支えを


 市場の大方の予想を大きく下回った――2013年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、実質で前期比0・3%増、年率換算では1・0%増となり、伸び率が前7~9月期(年1・1%増)から減速した。

 4月の消費増税を控え、駆け込み需要の押し上げ効果が含まれているにもかかわらず、今回の低い成長率は、改めて増税後の景気腰折れへの懸念を抱かせるものとなった。

 増税後への懸念強まる

 4四半期連続のプラス成長は維持したものの、速報値とはいえ、年率2%半ばという民間シンクタンクの予想平均を大きく下回った。その要因は個人消費、設備投資、輸出が予想以上に弱かったことである。

 GDPの約6割を占める個人消費は、駆け込み需要から前期比0・5%増と、確かに前期の0・2%増を上回った。成長率を押し下げた、もう一つの要因である外需、特に輸入の増加は内需の盛り上がりにつられたものとの見方もできなくはないが、それにしては広がりや力強さに欠ける。駆け込み需要が目立ったのは自動車などにとどまっているからである。

 設備投資も、これまで出遅れ感があったが、今回は同1・3%増と3四半期連続でプラスになり、ようやく動き出した感じだ。しかし、勢いはまだまだである。しかも、先行指標である機械受注が今年1~3月期は、盛り上がるどころかマイナスに転じる見込みで、力強さばかりか持続力にも疑問符が付く状況である。

 これに、輸出の伸び悩みである。輸出はアジア向けが増加して2四半期ぶりにプラスになったが同0・4%増と弱く、米国向けは減少した。これまでの円高で生産拠点の海外移転が進み、円安が進行しても日本からの輸出が増えにくくなったという構造的な問題のほか、米国の景気回復力の弱さや寒波、政府機関閉鎖などの要因も考えられる。加えて、新興国景気の不安定さである。

 一方、原発の停止が続いているため、輸入は火力発電用燃料の原油や液化天然ガス(LNG)が増えて同3・5%増と大きく伸びた。

 この結果、外需の寄与度はマイナス0・5%となり成長率を押し下げたのだが、課題はむしろ、外部要因に左右される外需ではなく、力強さに欠ける内需である。

 確かに、今年1~3月期に関しては、増税前の駆け込み需要が本格化して、個人消費を主因に年率3%台の高い成長率が予想される。しかし、4~6月期はその反動減で大幅なマイナスになるのが必至の情勢だ。切れ目ない対策が肝要ということである。

 この点、4月に消費税率を引き上げる以上は、このほど成立した13年度補正予算による経済対策の実施は当然である。また、安倍政権が描く経済の好循環を実現するためにも、今春闘でベアなど賃金の上昇を実現させる必要がある。

 成長戦略で設備投資促せ

 そして、積極的な設備投資に踏み出せない企業を後押しする成長戦略も重要である。

(2月19日付社説)