株主総会がピーク、分散化やオンラインが広がる


620社超が開催、原発問題や地球温暖化で活発な株主提案

株主総会がピーク、分散化やオンラインが広がる

ANAホールディングスの株主総会に向かう株主=29日、東京都港区(時事)

 3月期決算企業の株主総会が29日、ピークを迎え、東証に上場する企業の27%に当たる628社(東証調べ)が開催した。集中率は調査を始めた1983年以降で最も低く、分散化が進んだ。新型コロナウイルス感染拡大後2年目となり、感染防止などの観点からオンライン中継の動きが広がった。原発問題や地球温暖化への対応で活発な株主提案も見られた。

 東京電力ホールディングスの総会では、東電福島第1原発から出る放射性物質を含む処理水の海洋放出をめぐり質疑が交わされた。小早川智明社長は「安全基準を順守する」と強調し、風評被害防止に努める考えも示した。一部の株主が処理水の処分方法に関し、福島県などの地元住民との協議委員会を設置する議案を提出したが否決。経営側が体制強化を目指し提案した三菱ケミカルホールディングス前会長の小林喜光氏を会長に迎える人事は、承認された。

 ANAホールディングスはコロナ禍で旅客需要が落ち込み、2021年3月期に過去最大の連結純損失を計上した。22年3月期を無配予想としたことに、片野坂真哉社長は「大変申し訳ない」と陳謝し、「コスト削減の手を緩めず、今年度は黒字を目指す」と語った。

 三菱UFJフィナンシャル・グループには、株主の環境団体が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿った経営計画を毎年示すよう提案した。環境団体関係者は総会会場近くで横断幕を掲げるなど、他の投資家への支持拡大を目指したが、賛成率は23%(速報値)で議案は否決された。

 三菱UFJ信託銀行の調査によると、オンラインとの併用による総会は310社と前年の2・5倍強となった。完全オンライン総会を可能にする法律施行を受け、定款変更を議案に掲げた企業は10社に上り、ソフトバンクグループや三井住友フィナンシャルグループなどで可決された。