名古屋に大相撲の活気再び、感染防止対策を徹底
昨年3月以来の地方開催、成功裏に終えれば明るい兆しに
7月4日の初日に向け、大相撲名古屋場所(愛知・ドルフィンズアリーナ)の開催準備が着々と進んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大により、大阪での昨年春場所を最後に1年4カ月も遠ざかっていた地方場所。軽やかな寄せ太鼓の音が鳴り響くのを、多くのファンが心待ちにしている。
人気を保つ上でも、日本相撲協会にとって地方での興行が持つ意義は大きい。東京・両国国技館での開催が続いていた中で、「安心、安全な大相撲観戦」の実績を積み上げてきた。大関の貴景勝が「一歩進んだ気がしてうれしい」と喜べば、正代は「違った風を感じることができる」と言う。
チケットを扱う相撲茶屋からも、歓迎の声が上がる。「かね秀」の小関義明社長は中止も覚悟していただけに、「協会がコロナ対策で努力してきたおかげ。大変感謝している」と率直に言った。観客数の上限は50%以内に抑えられ、例年ほどはファンが欲しがる席のチケットを確保できなかったそうだが、常連客からは「相撲が見られるだけでもありがたい」との声が聞かれるという。
コロナ禍にあって、観客を入れての地方場所開催は前例がないだけに、名古屋場所担当部長の出羽海親方(元幕内小城乃花)は「感染防止対策に神経を使い、緊張している」と気を引き締める。既にPCR検査で全協会員の陰性を確認し、力士や親方らにはワクチン接種も実施。収束が見通せない中、成功裏に終えれば、明るい兆しとなる。