コンビニ調査 ビジネスモデルの見直しを


 公正取引委員会がコンビニエンスストア業界の実態調査結果を公表した。24時間営業について、加盟店オーナーの3分の2が見直したいと回答する一方、コンビニ本部が「交渉に応じていない」ケースもあり、独占禁止法に違反する可能性があるとしている。

 人手不足や人件費の増加などで、オーナーの負担は非常に重くなっている。ビジネスモデルの見直しが不可欠だ。

 24時間営業を強いられる

 オーナーが時短営業を希望する背景には、深夜の時間帯に採算が取れないことや、人手を確保できないことがある。ところが調査では、営業時間短縮を求める店舗の3割以上が本部に交渉さえしてもらえず、24時間営業を強いられていた。

 調査報告書は、コンビニ業界について「本部は加盟店に対して優越的な地位にある場合が多い」と指摘。24時間営業強要のほか、商品仕入れの強制や加盟店に配慮しない近隣への出店、消費期限が迫った商品の見切り販売の制限などについて、独禁法上の「優越的地位の乱用」に当たる可能性があることを強調した。

 弁当などが売れ残った場合の廃棄コストは原則として加盟店が負担することになっている。値引き制限や仕入れ強制で売れ残りが増えれば、加盟店の利益は減る。現場の実情を踏まえず、高圧的な態度を取る本部の姿勢は正されなければならない。公取委がコンビニ各社に厳しく改善を要請したのは当然だ。

 調査では、オーナーの置かれた過酷な実態が改めて浮き彫りになった。直近1年間の休暇日数が10日以下だったオーナーの割合は63・2%に上る。

 オーナーが直近1年間に午後10時以降の深夜業務に就いた日数は平均で84・7日に達し、13・9%が「300日超」と回答した。人手不足がオーナーの負担増加につながっており、本部には十分な支援や配慮を行って現場との関係を修復することが求められる。

 コンビニの店舗数はこの10年ほどで1万店以上増え、5万5000店以上に達した一方、1店舗当たりの日本の人口は減少した。アルバイトの平均時給も上昇し、加盟店の利益は圧迫されている。これに新型コロナウイルスの影響が加わり、既存店の売上高は前年同月比マイナスが続くなど経営は厳しさを増している。

 商品・アイデアを提供する本部と現場を担う加盟店という従来型のビジネスモデルは行き詰まりを見せていると言えよう。少子高齢化や人手不足の深刻化などで、従来は問題視されなかったことでも、不当な対応と評価される場合もあることをコンビニ各社は認識すべきだ。

 持続可能な運営の実現を

 日本でコンビニが登場してから約半世紀となる。現在では商品の販売だけでなく、公共料金や税金の支払い、宅急便の受け取り、災害時の帰宅支援や物資提供の拠点などとして機能し、私たちの生活に欠かせない存在となった。

 だからこそ旧態依然のやり方ではなく、現場の声も反映させた持続可能な運営を実現する必要がある。