米政権元高官、対北制裁解除「可能性低い」
近く米朝協議再開も
昨年までトランプ米政権でジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の首席補佐官や国家安全保障会議(NSC)事務局長を務めたフレッド・フライツ氏は18日までに本紙との単独インタビューに応じ、「トランプ政権は北朝鮮がすべての核関連施設のリストを公表しない限り、制裁を解除しないだろう」と述べ、米国は今後も対北制裁を維持する考えだと強調した。
フライツ氏は、マイク・ポンペオ国務長官と最近連絡を取った際、「対北制裁を一部解除すれば、非核化への道は遠のく」と言われたことを引き合いに、「トランプ政権の目的は北朝鮮の完全な非核化だ。それが遠のくような妥協はしないし、非核化が見込めない状態で制裁を解除する可能性も低いだろう」との見方を示した。
今月に入って北朝鮮が短距離弾道ミサイルを相次いで発射していることについては、「金正恩朝鮮労働党委員長は、2月にベトナムのハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が決裂したことに大きなショックを受け、フラストレーションをためている。ミサイル発射は、そうした気持ちの表れだろう」と語った。
一方で、「北朝鮮はスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表と対話したがっている」と指摘。ビーガン氏が北朝鮮の崔善姫第1外務次官に会合開催を要請しているとの報道があることから、近いうちに実務者級での協議が再開されるとの考えを示した。
またフライツ氏は、「トランプ政権は北朝鮮の核問題を(オバマ前大統領のように)次期大統領に先送りしないと決めた。トランプ氏が強硬姿勢を示しているのは、そうした明確な意思を持っていることが大きな理由だ」と強調した。
6カ国協議については、「(北朝鮮の後ろ盾である)中国やロシアが入る協議では、非核化交渉が複雑になる」とし、トランプ氏は米朝による2国間協議を続けるだろうとの見通しを示した。
フライツ氏は、米中央情報局(CIA)や国務省などで計25年間勤務し、トランプ政権では一時、NSC事務局長を務めるなど対北政策に大きく関与した。
(ソウル 岩城喜之)