イラン「戦争リスク高まる」
シリア内の関連施設攻撃でイスラエルに警告
イスラエル軍によるシリア内のイラン関連施設を標的とした爆撃が断続的に繰り返される中、イランのザリフ外相は17日、ドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議で「イスラエルによるシリア内のイラン関連拠点を狙った攻撃は国際法違反であり、米国だけでなく各国がこうした事実に目をつぶるならば、戦争が起きるリスクはさらに高まる」と警告した。(エルサレム・森田貴裕)
軍事拠点を北部に移動か
イラクでの足掛かり狙う
国営シリア・アラブ通信は11日、イスラエル空軍の無人機が国境近くのシリア南西部クネイトラ県を攻撃したと伝えた。シリア軍によると、ミサイル4発が発射され、クネイトラの廃虚となっていた病院、イスラエルとの国境からそれほど遠くない軍監視所が被害を受けた。英国を拠点に活動する反体制NGO「シリア人権監視団」によると、シリア政府軍に所属する民兵を標的とし、少なくとも民兵4人がこの攻撃で負傷したという。
攻撃を受けた地域は、この地域の住民によると、ダマスカス南部地方とダルアー県およびクネイトラ県とを結ぶ「死の三角地帯」として知られ、イランが支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが率いる民兵の要塞(ようさい)となっているという。
イスラエル軍参謀本部諜報(ちょうほう)局によると、イランは現在、シリアのイスラエルとの国境に沿った地域ではなく、国境から遠く離れたシリアの東部地域および北部地域に軍事拠点を置くことに注力しているという。
イスラエルがシリアで数多くの標的を爆撃したことにより、多大な損害を受けたイランは、その政策の変更を決めたようだ。
イラン革命防衛隊の精鋭部隊であるクッズ部隊を率いるカセム・スレイマニ司令官によると、シリアとイスラエルとの国境近くに比較的大きな飛行場や軍事施設を設立する代わりに、シリア東部とイラクに部隊を展開するという。
イランはイラクでの足掛かりを得るよう努力しており、その地域にイスラエルを狙うためのロケット発射装置を配備し、加えて、シーア派民兵はイラク西部を拠点とし、シリア内に展開するイスラエルを標的とした攻撃部隊への参加命令を待っているという。
これまでにイスラエル軍は、イラン軍の武器供給基地としての役割を果たしてきたダマスカス国際空港への空爆を繰り返し行ってきた。
イスラエル軍は1月21日、ダマスカス国際空港にあるクッズ部隊の武器庫や訓練キャンプへの攻撃を行ったと発表。シリア政府に対してイスラエルの領土や部隊を攻撃しないよう警告した。
イスラエル軍によると、イランは徐々にシリアのダマスカス国際空港から部隊を撤退させ、シリア中部ホムスに近いティアス空軍基地に配備しようとしているという。
イスラエルのネタニヤフ首相は12日、イスラエル軍が11日にシリアにあるイランの目標を攻撃したことを確認した。ネタニヤフ氏は「イランは革命40周年を記念してわれわれを脅かしている。テルアビブとハイファを破壊すると脅迫した。彼らは成功しないだろう。しかし、彼らが試みるならば、彼らが祝う革命の体制の最後の記念日になる」と警告した。
ネタニヤフ氏は1月29日、テルアビブで開催された「サイバーテック・カンファレンス」で、「イスラエルのインフラは毎日、イランからサイバー攻撃を受けている。…しかし、イランからのサイバー攻撃に屈することはない」と述べた。
過去2年間にシリアでイランの目標の200カ所以上を攻撃したことを明らかにしているイスラエルは、シリアからの米軍撤収後、シリアに駐留するイランの革命防衛隊、民兵組織との戦いを強化するとしている。











