緑色のドライフルーツ


地球だより

 ユダヤ暦シュバット月の15日目に当たる1月21日は、植樹祭「トゥビシュバット」だった。「樹木の新年」とも呼ばれ、この日ユダヤ人たちは植樹をしたり、ナッツやドライフルーツを食べて祝う。

 ちょうどそのころ、テルアビブのショッピングセンターに入ると、色とりどりのドライフルーツが並んでいた。家族皆で楽しもうと大きめの詰め合わせを買って帰り、娘たちと一緒に、リンゴ、バナナ、オレンジ、プルーン、チェリーなど、何のフルーツか確かめながら味わった。

 その中に一つだけ初めて食べるドライフルーツがあった。形は切ったマンゴーのようでもあり、色は緑だがキウイでもなく、砂糖の味だけが強く香りはあまりしない。

 ショッピングセンターで再び、その緑色のドライフルーツを目にした。ここぞとばかりに日本のアニメファンだという女性店員さんに聞いてみると、なんと着色したパイナップルの芯と判明。他にも赤や黄色があるという。

 トゥビシュバットの数日後、1年ぶりに連絡が取れた友人から夕食の招待を受けたので、家族で友人宅にお邪魔した。久々の再会を喜び、豆や野菜を使った手の込んだ料理を作ってもてなしてくれた。友人はイスラエルに多いビーガン(完全菜食主義者)なのだ。食後にはクルミやドライフルーツ、そして日本の緑茶を入れ楽しませてくれた。

 雨期の今、大地は緑で覆われ、牛や羊たちは芽吹いた草を食(は)んでいる。イスラエルに春がやって来た。

(M)