終戦73年、祈り重ね 平成最後の全国戦没者追悼式
天皇陛下「世界の平和とわが国の発展を」
73回目の終戦記念日を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれた。天皇、皇后両陛下や安倍晋三首相、遺族ら約7000人が参列。戦没者約310万人の冥福を祈った。来年4月末の退位を控え、最後の出席となる天皇陛下はお言葉で「深い反省」に4年連続で言及。「世界の平和とわが国の一層の発展を祈ります」とも述べられた。
式典は正午前に始まり、安倍首相が式辞で「今日の平和と繁栄が、戦没者の皆さまの尊い犠牲の上に築かれた」と追悼。その上で、「戦争の惨禍を二度と繰り返さない。歴史と謙虚に向き合い、どのような世にあっても、この決然たる誓いを貫く」と強調した。歴代首相が踏襲してきたアジア諸国への「損害と苦痛」「深い反省」には6年連続で触れなかった。
正午から1分間、黙とう。続いて、天皇陛下が「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願う」とお言葉を述べられた。
その後、父がテニアン島で戦死した宮城県石巻市の鈴木喜美男さん(75)が遺族を代表し、「世界の平和、命の大切さをしっかりと後世に受け継いでいくため、たゆまぬ努力を続けます」と追悼の辞を読み上げた。
厚生労働省によると、参列した遺族は5236人。最高齢は夫を沖縄戦で失った東京都練馬区の芹ケ野春海さん(102)。最年少は2歳児。戦没者の父母は8年連続で一人もいなかった。戦後生まれは年々増え、世代交代が進んでいる。
天皇陛下のお言葉
本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来既に73年、国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、苦難に満ちた往時をしのぶとき、感慨は今なお尽きることがありません。
戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。