国内景気、内需改善も先行きに強い懸念


 4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で前期比0・5%増、年率換算では1・9%増になった。内需が改善し、2期ぶりのプラスに転じた。

 しかし、7月以降の猛暑やトランプ米政権の保護主義的な通商政策など先行きには懸念材料が少なくない。景気が踊り場から脱出に向かうかどうかは予断を許さない。

米の保護主義の悪影響も

 4~6月期は、個人消費が前期比0・7%増と成長を牽引(けんいん)した。実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度を見ると、内需0・6%プラス、外需0・1%マイナスだが、このうち個人消費は0・4%のプラスと主導し、設備投資も0・2%プラスと成長に貢献した。成長パターンは一応内需主導の形になっている。

 問題は、この成長パターンが今後も続くかである。現状から言えば、残念ながら強さは一時的と言わざるを得ず、先行きにも懸念材料が少なくない。踊り場脱出は微妙である。

 まず0・7%増となった個人消費だが、これは野菜価格の高騰などでマイナスとなった前1~3月期の反動という面が強いことである。

 もちろん、実質雇用者報酬が4~6月期は前期比1・9%増と、2003年1~3月期(2・0%)以来の伸びになり、消費増にそれなりに寄与したと思われるが、税や社会保障などの負担増を勘案すれば、消費動向を左右する可処分所得はさほど伸びていないとの指摘もある。

 そこに、7月以降の今も続く猛暑の影響である。1~3月期に高騰から消費を落ち込ませた野菜が、再び値上がりを続けている。猛暑が続いて夏の行楽シーズンに外出を控える動きが広がれば、7~9月期に外食・レジャー産業などで消費が減り、景気が再び勢いを失うことは十分に予想される。

 個人消費と同じく成長を支えた設備投資は、7期連続でプラスを維持している。世界経済の順調な拡大を背景に企業収益が好調なことや、人手不足に対応した省力化投資が根強いこともある。ただ、先行指標の機械受注は、7~9月期に落ち込む見込みで、強さは必ずしも盤石とは言えない。

 何よりも懸念されるのが、米中貿易戦争に発展しつつあるトランプ政権の保護主義的な通商政策の影響である。

 茂木敏充経済財政担当相が指摘したように「通商問題の動向が世界経済に与える影響などに留意する必要がある」ということである。

政府は不透明感の軽減を

 米中貿易摩擦は、4~6月期のGDPへの影響は軽微だったようだが、米政府が検討している輸入車への追加関税措置で、日本車が対象になれば相当の影響が必至となろう。輸出にとどまらず、収益の悪化から堅調な設備投資にも悪影響が予想され、景気の牽引役を失いかねない事態に陥る。

 期待された米ワシントンでの日米閣僚級の新たな貿易協議(FFR)の初会合は、この関税の回避には至らなかった。懸念される先行き不透明感の軽減へ、政府は強い姿勢で取り組んでほしい。