米中露、極超音速兵器で開発競争
中国試験発射に成功で、先行
中国の宇宙開発事業を担う国営企業、航天科技集団公司が極超音速滑空飛翔体の試験発射に成功したことが明らかになった。核を搭載でき、既存のミサイル防衛網を突破することが可能とされている。ロシアも同様の飛翔体の開発を進めており、米国は対策を急いでいる。
航天科技集団公司の発表によると、飛翔体は「星空2」と名付けられ、8月3日に行われた実験で、マッハ5・5から6の速度で地上約30㌔を飛行した。飛翔体を搭載した弾道ミサイルが発射される映像を中国国営テレビが公開した。中国政府が核搭載可能な極超音速飛翔体の開発を公表するのは初めてのことだ。
米露でも同様の飛翔体の開発が進められている。ロシアのプーチン大統領は3月、「弾道を描かずに標的に到達する新型の戦略兵器の開発を開始した」と発表、「ミサイル防衛システムでは対抗できない」と豪語した。
2019年国防権限法は、国防総省ミサイル防衛局に、極超音速兵器に対抗するミサイル防衛開発計画を加速させるよう求めている。
ハイテン戦略軍司令官は1日、中国が極超音速飛翔体の開発に「非常に意欲的に取り組んでいる」ことを認めた上で、極超音速兵器の開発について「米国が中露より進んでいる部分もあるが、中露の方が進んでいる分野もある」と熾烈(しれつ)な開発競争が繰り広げられていることを明らかにしていた。
グリフィン国防次官(研究・技術担当)は先月、超音速兵器の開発は国防総省にとって最優先事項だと主張、「即応性が高く、高速、誘導可能であり、発見、追跡、迎撃は困難」と、迎撃システムの開発のペースを速める必要性を強調した。
また、「宇宙空間を利用することで、警告、発射の探知、監視、捕捉、追跡が可能になり、地球規模での恒久的な監視が可能になる」と、極超音速兵器に対して宇宙基盤の防衛力を整備することもあり得ることを強調した。