コロンビア大統領選、右派のドゥケ氏勝利
和平合意見直しを主張
南米コロンビアで17日、現職サントス氏の任期満了に伴う大統領選挙の決選投票が実施され、即日開票の結果、対ゲリラ強硬派の右派イバン・ドゥケ上院議員(41)の当選が確定した。就任は8月7日で任期は4年。副大統領には、マルタ・ラミレス元国防相(63)が選ばれた。女性の副大統領は同国初。
選管当局によると、得票率はドゥケ氏が54%、左派で前ボゴタ市長のグスタボ・ペトロ氏(58)が42だった。
選挙の最大の焦点は、2016年にコロンビア政府と旧最大左翼武装ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との間で締結された和平合意だ。コロンビアの内戦は、1960年代から半世紀以上にもわたって続き、民間人を含む30万人以上の犠牲者を出した。
当選したドゥケ氏は、和平合意の内容が誘拐や麻薬密売など人権侵害や犯罪に加担したゲリラ幹部らに寛容過ぎるとして、合意見直しを主張していた。
一方、左翼ゲリラ出身でもあるペトロ氏は、和平合意の尊重と継続を主張、その是非をめぐってコロンビア国内の世論は大きく割れた。事実、和平合意は、その是非を問う国民投票で一度否決されており、国会での議決に持ち込むことで辛うじて成立させたいきさつがある。
大統領選挙のもう一つの争点は、資源価格の低迷などで成長率が落ちている経済の活性化だった。ドゥケ氏は、法人税の引き下げや投資拡大などを通じて成長を実現させると主張、対するペトロ氏は、教育や医療など社会保障制度の充実による格差是正や土地改革などを公約として掲げていた。
ドゥケ氏が、経済政策では投資や自由市場を重視していることもあり、コロンビアの経済界はおおむね同氏の当選を肯定的に受け止めている。ただ、和平合意見直しが実際に政策として実行された場合、現在は合法政党「人民革命代替勢力」として活動しているFARCが反発、さらにはFARCの分派として活動を継続しているゲリラ組織の活動が激しくなる可能性が高い。
(サンパウロ綾村悟)