福音派、揺るがないトランプ支持
「宗教の自由」擁護に期待
ロシア政府による米大統領選介入に関与した疑惑やイスラム圏の一部からの一時入国禁止などでメディアの批判にさらされているトランプ米大統領だが、「最大の支持基盤」(ワシントン・タイムズ)であるキリスト教福音派からの支持は依然として高い状態だ。オバマ前政権からの転換を掲げるトランプ氏に対する福音派の期待は大きく、今後も同氏への支持は揺るがないと見られている。
(ワシントン・岩城喜之)
「信仰に従って生活する権利を守り抜く。私が大統領でいる限りは、誰もあなた方の信仰や宗教活動を止めることはできない」。トランプ氏は8日、福音派系の保守派団体「信仰と自由連合」が開いた集会で演説し、信教の自由を守る政策を進めることを何度も強調した。
ペンス副大統領も10日の同集会に参加し、「宗教の自由を守り、促進することはトランプ政権の優先事項だ」と述べ、参加者を喜ばせた。
オバマ政権時代には、伝統的な宗教道徳に基づき同性愛や同性婚に反対する保守的なキリスト教徒が糾弾され、社会的制裁を受ける事例が相次いでいた。
これに対し、トランプ氏は1月の就任以来、米連邦最高裁判事に保守派のニール・ゴーサッチ氏を指名し、教会の政治活動を一部可能にした大統領令に署名するなど、保守派の期待に沿った政策を進めている。
こうしたことから、トランプ政権で「行き過ぎた宗教的差別」(カトリック情報センターのポール・グラント司祭)が是正されると大きな期待を寄せるキリスト教保守派は多い。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターが4月下旬に発表した世論調査では、福音派の78%がいまもトランプ氏を支持していると回答した。これは昨年の大統領選の数字(81%)からほぼ変わっておらず、いまや福音派は揺るぎないトランプ支持層になったといえる。
政治専門紙ポリティコは「トランプ氏とキリスト教保守派は驚くべき絆で結ばれている」とし、今後も福音派がトランプ氏を支持し続ける可能性が高いと指摘する。
「信仰と自由連合」のラルフ・リード会長はトランプ氏の政策を高く評価した上で、「いまの政策を続ければ、2020年の大統領選で福音派のトランプ支持はさらに強固になるだろう」との見方を示している。