パナマ、中国と国交
台湾と断交 運河利用で密接
中米パナマ政府は12日夜(日本時間13日午前)、中国政府との共同声明を発表、中国との国交を樹立すると同時に、台湾と断交し、「一つの中国」原則を認めることを明らかにした。パナマ政府の発表を受けて同日(台湾時間13日午前)、台湾政府もパナマとの断交を発表した。
パナマと台湾は100年以上の外交関係があり、昨年6月の蔡英文総統によるパナマ訪問時に両国の関係を確認したばかり。中国は、「一つの中国」原則を中心に台湾と外交関係がある国々の切り崩しを図っており、パナマはその中でも近年、中国が特に力を入れていた国の一つだった。
一方、パナマ政府は台湾との断交発表時に「台湾を中国の一部と認める」とも言明、台湾の蔡総統はパナマ政府の対応に深い遺憾の意を表明、中国政府による台湾への外交圧力に対して「台湾の人々を傷つけるものだ」などと抗議した。
パナマ運河からの収入を主要財源としているパナマでは、近年中国船の通行が増加(中国船籍のパナマ運河利用は2位)、さらにはパナマ運河の拡大工事や近隣地区の開発、パナマ国内での商品の物流においても中国企業の関与が増えるなど、世界第2位の経済大国でもある中国との結び付きが欠かせなくなっていた。
パナマのバレラ大統領は中国との国交樹立により「物流、金融、建設などでも中国との関係が強まる」と述べた。
また、「一帯一路」政策を掲げる中国にとっても、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河は要衝の地でもある。
今回のパナマとの断交により、台湾と外交関係のある国は20カ国になる。昨年12月にも、アフリカの島国、サントメ・プリンシペが台湾と断交し中国と国交を回復したばかり。現在、台湾と外交関係がある国は、欧州(1カ国=バチカン)、アフリカ(2)、大洋州(6)、中南米・カリブ海諸国(11)。
(サンパウロ綾村悟)