シリア、全土で停戦発効
ロシアとトルコが仲介
シリア全土で30日午前零時(日本時間午前7時)、同国政府軍と反政府勢力との停戦が発効した。
イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)や、国際テロ組織アルカイダから分離独立した「シリア征服戦線(旧ヌスラ戦線)」は対象外。英メディアや在英のNGO(非政府組織)「シリア人権監視団」によると、30日早朝の時点では、北部ハマ県での激しい衝突や、北西部イドリブ県、ダマスカス東部グータなどで小規模な衝突があったものの、ほとんどの場所で停戦は守られている。
停戦合意を仲介したロシアとトルコが停戦の遵守(じゅんしゅ)を保証するという。
ロシアメディアによると、プーチン・ロシア大統領は29日、シリアのアサド大統領と電話会談し、アサド氏は停戦遵守を受け入れたという。
ただ、停戦合意は、この一年間にも2度あったが短期間で崩壊しており、今回の停戦が長期に継続するかどうかは未知数。ただ過去と違う点は、反体制派の最大の拠点だった北部アレッポが陥落するなど、反体制派の弱体化が決定的となっていることで、ロシアの力による威嚇に対し、抵抗できる可能性は低いとみられる。
ロシアはこの停戦を担保した上で、カザフスタンの首都アスタナでロシアとイラン、トルコが主導する和平協議を一カ月以内に開催する準備を進めている。
これが実現すれば、米国外しが現実化し、国連も蚊帳の外に置かれることになりかねない。この協議には反体制派を支援するサウジアラビアやカタールも招待される見込みだ。シリアに対するロシアとイランの影響力が格段に強まることが予想される。
2011年3月から始まったシリア内戦では、少なくとも30万人が死亡し、400万人近くが、近隣諸国や欧州に避難している。
(カイロ鈴木眞吉)