朝日新聞の「押し紙」、「経営の根本粉飾する」

 「Hanada」における長谷川★(=黒の里を臣己に)と永栄潔の対談では、朝日新聞の「押し紙」問題も話題になった。押し紙とは、新聞社が発行部数を多く見せるために、販売店に買い取らせる新聞のことで、読者に配られることなく、古紙回収などに回される新聞のことで、日本の新聞業界の“闇”と言われている。

 朝日の記者が今年2月、公正取引委員会委員長の会見で、押し紙問題について質問し、それが週刊誌に取り上げられて話題となっている。質問した記者に取材した長谷川によると、2014年8月の慰安婦虚報の検証記事掲載以降、朝日は部数減が続くが、販売店を悩ませているのは、部数減よりも押し紙の方で、「毎日届く新聞のうち二、三割が押し紙だという」。

 ABC(新聞雑誌部数考査機構)調査によると、朝日の発行部数は10年に800万部だったが、14年6月に約740万部、16年春で約660万部に減っている。そのうち、2、3割が押し紙だとすると、実際の発行部数は530万部から460万部ということになる。このため、長谷川は「経営の根本が粉飾されていることになるのではないですか」と問題提起する。新聞広告料は発行部数を基にはじき出されるのだから当然のことで、「大変な経営問題に発展してもおかしくない」(長谷川)。

 押し紙問題については、元全国紙記者の幸田泉も「文藝春秋」に論考を掲載している(「読売VS共同」 新聞大再編)。この中で、幸田は「新聞社は押し紙の存在を認めておらず、実売部数は絶対に公表しないが、状況証拠から予測すると、二〇二〇年には二大紙の読売新聞が五百万部、朝日新聞が三百五十万部ぐらいの実売部数ではないだろうか」と述べている。ちなみに、ABC調査によると、読売の発行部数は現在、約912万部だ。

 さらに、幸田は次のように指摘する。

 「今や新聞の販売網は押し紙でパンク寸前、新聞社と販売店の信頼関係は過去最悪だ。現状のままでは、二〇二〇年の東京五輪を待たずに消滅する新聞があってもおかしくない」

 新聞不況は予想を超えて深刻である。(敬称略)

 編集委員 森田 清策