統一地方選終了、地域に関心持ち政治参加を
統一地方選挙の後半戦が終了した。好天に恵まれたにもかかわらず、26日に投票された62市長選、281市議選、11東京特別区長選、21同区議選、69町村長選、284町村議選は投票率の低下傾向に歯止めが掛からず、地方政治への関心の低さを示す結果となった。政府の「地方創生」政策を軌道に乗せるには住民の関心を喚起することが必要であろう。
投票率は軒並み最低
総務省によると、後半戦で平均投票率が過去最低となったのは市長選の50・53%、市議選48・62%、区議選42・81%、町村長選69・07%、町村議選63・12%だ。
また、無投票当選も27市長選、53町村長選、市議選では15市246人だった。市議選では総定数の3・6%に上り同省に記録が残る1951年以降で過去最高という。
市区町村は票を投じる有権者にとって最も身近な地方自治体であり、定数が数十ある同議選は大勢の立候補者の遊説カー、街頭演説、法定ビラ配布が路地裏まで及ぶことから、選挙は周知徹底されるはずである。
それにもかかわらず投票率が低下の一途を辿っているのは、地域とのつながりが希薄な有権者がいかに増えているかを示している。
無投票当選の増加は地域のリーダーとなる担い手不足を意味しており、投票所に足を運ばない有権者の無関心とともに二重苦となって地方自治体にのしかかる問題だ。地方創生政策では、各自治体が「地方版総合戦略」を今年度中に策定していくことになる。
その際に、政府は地方を補佐するため人材支援を打ち出しているが、地方を主役とする「知恵を絞った」戦略を策定するために地方行政・議会の論議が活性化することが望ましい。区市町村議員らも積極的に自らの議会活動を有権者に広報して、関心を呼び戻す使命があろう。
特に、来年からは18歳以上に選挙権年齢が引き下げられる方向であり、投票率の低下が懸念されるところ「政治参加」の学校教育も急務である。
また、後半戦でも自民党の当選議席が伸長し「自民党一強」を印象付けた。市区町村議選は大選挙区であり、無所属候補が圧倒的に多く、政党よりも人を選ぶ選挙であるが、立候補者が公認申請するのは票の上乗せを期待してのことだ。市議選の自民党公認は前回の550人が693人に増えたが、保守系無所属に安倍政権の経済政策「アベノミクス」などによって同党公認が追い風となるとの判断が働いたためだろう。
一方、野党は民主党の議席が減り、共産党は伸びた。民主党は与野党対決型の大分市長選でも敗れ、今回の統一地方選挙を党再生の足掛かりとすることに失敗したと言えよう。民主党が本格的な野党として存在感を示し得ないことは、投票棄権者を増やし、投票率の低下につながった。
民主は信頼回復の努力を
民主党の形成は「反自民非共産」を合言葉にした90年代の政界再編成にまで遡るが、責任ある健全野党として信頼を取り戻す努力が不可欠だ。
(4月28日付社説)