国営銀行の特別な融資 ロシアから


地球だより

 先日、あるロシアの大手銀行から手紙が届いた。開けてみると、「特別な融資のご提案です」とある。必要な書類は「パスポート」だけ。「銀行の店舗に一回行くだけで、融資を受けることができます」
 そして、次を見て、「目が点」になった。「金利は、18・4%まで下がりました!」この銀行は、「国営」である(一部株式は公開されているが)。それが、こんな「サラ金」のような提案をしている。
 なぜそうなのか?理由は、インフレ。ロシアのインフレは、ソ連崩壊直後からずっと続いている。2012年のインフレ率は、公式発表によると6・6%。それが事実なら、国営銀行は18・4%~6・6%=実質11・8%で金を貸していることになる。
 しかし、この「6・6%」という数字を信じている人は誰もいないのだ。電気、水道、電話代など、いわゆる公共料金は、年に1度、一気に20~30%上がる。食料品も、ある日突然20~30%上がる。住んでいる人々は、インフレ率は年20~30%と感じている。
 そして、ロシア政府は、国民に「金をドンドン借りるよう」奨励している。そのため、軽い気持ちで金を借り、「借金地獄」に落ちていった人が本当に多い。
 若い世代の不満は、ローンが組めず、「家が買えない」こと。ロシアの銀行は、「家購入のための融資」でも金利を下げないのだ。
 結局、「借家でがまんし続けるか」「無理して買って借金地獄に落ちるか」という二者択一を迫られる。
 高いインフレ率と高い金利。この二つは、プーチン政権の支持率を下げる、主な原因になっている。
(Y)