モスクワ郊外は学校不足
地球だより
友人が住むモスクワの郊外の街ポドリスクを、エレクトリーチカ(近郊電車)で南に1時間ほど揺られて訪ねた。最近のモスクワ郊外は地方から若者層の流入が進んでいる。モスクワ市民権を持つ平均的な子持ちカップルは、モスクワ環状道路の外側に住居を求める。
西側の経済制裁で逼迫(ひっぱく)する政府の経済事情でも、国の政策で3人以上の子供の居る家庭には、特別待遇でアパートを譲与される。厳しい冬を考えれば完全暖房の団地暮らしが住みやすい。しかし人口増対策が追い付かず、いろいろなひずみが生じている。
例えば、病院や学校の不足は深刻だ。友人の息子エルダー君(8歳)が、真っ暗な午後7時近くに小学校から一人で帰って来た。近所に学校が少なく全校生徒の数が2000人を超える。そのため学年別に午前と午後の部に分かれて授業を行う。一人の先生が2学年を見るのは普通だと言っていた。
そのため小学2年生になったエルダー君は毎日昼食後に午後から登校する。エルダー君が誇らしく見せてくれた通信簿はオール5、子供より親の方がいっそう鼻が高くなるのはどこでも一緒だ。ロシアは教育熱心な文化があるが、低賃金で厳しい労働条件では教師の数もそう簡単には増えそうにない。
(N)