米AI独立委 中国への頭脳流出に懸念


新たな防止対策づくり訴え

 米独立委員会「人工知能(AI)に関する国家安全保障委員会(NSCAI)」は14日までに米議会で、AIなど重要な技術について中国への頭脳流出を防止するための新たな対策を講じるよう訴えた。

 ギルマン・ルイ委員は、下院の軍事委員会と監視・政府改革委員会小委で証言し、「中国は、AIに関して米国と競合できない」ことを理解しており、米国の技術を窃取、利用することで、技術的優位を獲得しようとしていると強調した。

 その上で同氏は、技術開発は近年「『オープンサイエンス』と呼ばれる開かれた基盤の上でアイデアを共有する」ことで推進されているが、「中国社会は開かれておらず、オープンサイエンスを支持していない」と指摘、閉鎖的で透明性を欠く中国に技術的優位性を奪われないよう大学、研究機関での対策の必要性を訴えた。

 元グーグルCEO(最高経営責任者)で、NSCAI委員長のエリック・シュミット氏も、優れた人材を流出させないための方策の必要性を強調、「優秀な量子物理学者を(米国で)育て上げ、中国に返し、中国で量子物理学開発計画が推進され、米軍の活動に対抗している。これがこれまでなされてきたことだ」と述べ、先進技術の流出を止めるための新たな制度的枠組みが必要だと主張した。

 NSCAIは、AIに関し安全保障の観点から調査を行い、議会にアドバイスするために2019年国防権限法によって設置された。今月に入って議会に提出した報告書で、中国を技術的優位に立たせないための対策を講じるよう求めたばかり。

(ワシントン・タイムズ特約)