日米2プラス2 同盟強化で中国を牽制せよ


 茂木敏充外相と岸信夫防衛相はきょう、来日した米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官と共に、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に出席する。日米同盟強化によって、膨張主義的な行動を続ける中国を牽制(けんせい)する必要がある。

 4月に両首脳初顔合わせ

 日米2プラス2の開催は約2年ぶり。バイデン米政権は最初の閣僚外遊先として日本と韓国を選んだ。同盟外交において、それだけ日本を重視していると解釈できる。日本としても日米同盟の意義を内外に誇示する機会となる。

 バイデン政権は今月、包括的な国家戦略「国家安全保障戦略」策定に向けた暫定指針を発表した。指針は米軍配備に関し、重点をインド太平洋と欧州に置くと表明。北大西洋条約機構(NATO)と並び日韓、オーストラリア3カ国の国名を挙げ、同盟強化を図るとした。

 今回の両長官来日は、こうした方針に基づくものだと言えよう。4月には菅義偉首相とバイデン大統領の初顔合わせが予定されている。

 指針は中国について、経済・外交・軍事・技術力を結集し、国際秩序に持続的に挑戦する能力がある「唯一の競争相手」と位置付けた。また「攻撃的かつ威圧的に振る舞い、国際秩序の中核をなす規範や価値観を弱体化させている」と批判した。

 中国が東・南シナ海で武力や抑圧によって現状を変更しようとすることは容認できない。2プラス2では、日米同盟の一層の強化に向けて話し合われることが希求される。

 中国は沖縄県・尖閣諸島の領有権を不当に主張。尖閣周辺では中国海警船による領海侵入が常態化している。2月1日に施行された海警法は中国海警局の武器使用権限を規定するなど、海警局の「第2海軍」化も進んでいる。2プラス2で、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が、尖閣にも適用されることを改めて表明することは重要だ。

 とはいえ、不安材料もある。バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は気候変動問題などでの協力を優先し、中国に融和的な姿勢で臨んだ。

 バイデン政権も、米国の国益にかなう場合は中国と協力することも排除しないとしている。2プラス2では、どこまで尖閣問題をめぐって危機感を共有し、中国に強い姿勢を示せるかが問われよう。

 テレビ会議形式で行われた初の日米豪印首脳会談では、中国に対処するために「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けた結束が確認された。民主主義や法の支配などの価値観を共有する4カ国は、連携を深めて中国の覇権主義的な動きに対抗する必要がある。ただ、4カ国の中で特に大きな役割を果たさなければならないのは日米両国だと言っていい。

 「公共財」として発信を

 日米同盟は日本だけのためにあるのではない。

 2プラス2では、アジア太平洋地域、そして世界全体の安定と繁栄のための「公共財」として機能していることも強くアピールすべきだ。