6府県宣言解除 警戒緩めず感染対策徹底を
政府は新型コロナウイルスに関わる緊急事態宣言のうち、愛知、岐阜、大阪、京都、兵庫、福岡の6府県について、きょうで先行解除する。
感染状況、医療提供体制を見ての判断だが、気の緩みがリバウンド(感染再拡大)につながらないよう、感染対策を徹底する必要がある。
「ステージ2」まで改善
6府県では新規感染者数が先月の宣言発令時と比べ大幅に減少し、感染状況の深刻度が2番目に低い「ステージ2」水準まで改善した。医療機関の負担も一定程度軽減された。
今回の緊急事態宣言では、感染拡大のリスクが高い飲食店の営業時間短縮に力点を置いた。それが一定の効果を上げたことは確かだ。しかし、専門家には気の緩みによるリバウンドを警戒する声が少なくない。
感染抑制をより確実なものとするには先行解除はしない方がいい。しかし一方で、外出自粛や時短営業の影響で経済的な打撃を受け厳しい経営状況に置かれている事業者は少なくない。経済状況の悪化が自殺者の増加につながっている。国民の命を守るためには経済も回していかなければならない。
感染対策と経済活動の両立の難しい判断を政府は迫られた。この難問をクリアするには、感染対策を徹底する中で経済活動を行う以外にない。
菅義偉首相は、新型コロナウイルス感染症対策本部での会合で、解除地域での飲食店の営業時間短縮に関し「各府県の判断で段階的に緩和することとし、国として最大(日額)4万円の協力金を支援する」と説明している。
こうした措置はリバウンドを防ぐためにも重要と思われる。3月に入り、卒業式や歓送迎会など人の動きや交流が活発になる。気の緩みがリバウンドにつながる恐れは十分ある。
1月の感染拡大を引き起こした原因として、忘年会や新年会で会食の機会が増えたことが指摘されている。人生の重要な節目に、人的な交流は大切にしたい。しかし、それが感染の拡大につながらないよう、親しき中でも心を緩めず感染対策は徹底したい。
東京など残る1都3県について、菅首相は「最後まで気を緩めずに3月7日に予定通り全ての地域で宣言を終わらせることが大事だ」と強調。感染状況を見極めて同5日にも解除の可否を決める。
1都3県では新規感染者数は減っているものの、その減少傾向が鈍化している。政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長は、首都圏の解除について「両方の可能性がある」と再延長の可能性も排除していない。
感染抑え込みの鍵となるワクチンの高齢者への接種は4月中旬からだ。それまでの期間、感染状況を注意深く見ながら、専門家の見解に沿って乗り切っていく必要がある。
変異株にも素早い対応を
感染力の強い変異ウイルスに対しては、菅首相は3月から短時間で検出できる新たな検査を全都道府県で実施するとしている。未知の部分の多い変異ウイルスにも情報提供と素早い対応が求められる。