民主バイデン氏指名確実
サンダース氏撤退
米大統領選の民主党候補指名争いで、急進左派のサンダース上院議員(78)が8日、撤退を表明した。中道派のバイデン前副大統領(77)が指名を獲得することが確実となり、11月の本選で再選を目指す共和党のトランプ大統領(73)と対決する構図が固まった。
サンダース氏はインターネットを通した演説で「この困難な状況の中、勝ち目のない選挙戦を継続すれば、重要な仕事の妨げとなる」と指摘。その上で「われわれはイデオロギーの戦いに勝利し、多くの若者からの支持を集めたが、この戦いが成功しないと結論付けた」と述べ、選挙戦からの撤退を表明した。
新型コロナウイルスの感染拡大で、集会の自粛を迫られるなど選挙活動も制限され、予備選の延期も相次ぐ中、党内で同氏の撤退を求める声が強まっていた。
サンダース氏は若者を中心に熱狂的な支持を集め、序盤戦では一時最有力候補に躍り出た。しかし、先月3日のスーパーチューズデー以降、中道派からの支持を結集したバイデン氏を相手に苦戦を強いられ、獲得代議員数でも大差をつけられていた。
バイデン氏は声明で、サンダース氏について「新たな運動を作り出した。それは今でも強力だ」と称(たた)えた上で、その支持者に対して「あなたたちを必要としている」と述べ、サンダース氏の掲げてきた公約の一部を取り入れる姿勢も見せた。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、サンダース氏とバイデン氏の陣営は、水面下で政策の共通点を探るための話し合いを進めてきたが、最終的にサンダース氏が満足する進展があった。両陣営は医療保険制度などについての政策合意を近く公表する見通しだという。
今後、本選に向けてバイデン氏がサンダース氏の支持層からの支持を集められるかがカギとなる。
(ワシントン 山崎洋介)