トランプ氏会見、新型コロナで中国は「少なめに公表」


米議員から調査求める声も

 トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスの会見で中国当局が公表した新型コロナウイルスの感染者や死者の数について「若干、少なめの数字のようだ」と述べ、データの信頼性に疑問を呈した。与党・共和党議員からは、中国のデータが信頼できないとして、国際社会と連携して調査を求める声が上がっている。

トランプ米大統領

1日、ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(AFP時事)

 ブルームバーグ通信は1日、米情報当局が「中国は新型コロナウイルスの感染者数と死者の両方を意図的に過少報告している」と結論付けた報告書をホワイトハウスに提出したと報じた。トランプ氏は報告書は受け取っていないと説明した上で、「私は中国の会計士ではない」と述べ、数値の正確性について踏み込んだ言及は避けた。

 一方、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策顧問を務めるデボラ・バークス氏は、31日の会見で、「医療界は中国のデータを『深刻だが、予想より小規模』と解釈してきた。なぜなら、おそらくかなりの量のデータが欠落していたからだ」と述べ、中国の情報開示が不十分との認識を示した。

 ブルームバーグの報道をめぐって、中国に対して強硬な保守系議員からの発言が相次いだ。

 サス上院議員は声明で、「米国の死者が中国より多いという主張が誤りであることは明白だ」と指摘。「中国共産党は体制を守るためにこれまでも、これからも嘘(うそ)をつき続けるだろう」と述べ、中国のデータを信頼すべきでないと訴えた。

 マコール下院議員は声明で「彼らは、ウイルスの人から人への感染に関して世界に嘘をつき、真実を語ろうとした医師やジャーナリストを沈黙させ、今では感染についての正確な数値を隠している」と非難。国務省に他国と連携して、中国が新型コロナウイルスへの対応について調査するよう求めた。

 ジョンズ・ホプキンス大によると、米国で感染者が20万人を超えたのに対し、中国は8万人台にとどまっている。しかし、中国は最近まで無症状の人を感染者に含めないなど、データの信頼性を疑問視する見方が広がっていた。

(ワシントン 山崎洋介)