中国封じ込めへ再編計画、米海兵隊がインド太平洋に照準


 米海兵隊は3月下旬、南シナ海の軍事化など西太平洋で覇権を拡大する中国との紛争に備えるための再編計画を発表した。今後10年で戦車隊を全廃、対艦砲を強化する一方で兵員を削減するなど島嶼(とうしょ)部の敵地内部に侵入することを想定した大改革が実施される。

 国防当局者らは、中国が急速に軍事力を強化しており、第2次世界大戦時の硫黄島上陸のような従来の手法では応対できなくなっていると指摘、海から戦場に侵入するのではなく、敵地に小部隊で侵入し行動できる「スタンドイン(代役)」戦力となることを目指している。

 海兵隊トップ、バーガー総司令官は、第2次大戦やイラク戦争のような大規模な地上と空からの作戦を放棄することを表明した。中国に集中し過ぎとの批判が出ていることに対してバーガー氏は、「激しい覇権争いに対処し、インド太平洋地域に照準を定めようとすると、現状のような海軍との合同作戦という概念では対応できない」と構造的な改革の必要性を強調した。

 中でも顕著な改革として挙げられているのは7個戦車中隊の全廃。また戦地で橋の設置を行う「架橋中隊」の削減も盛り込まれ、従来のような地上での戦闘よりも、南シナ海のような島嶼での戦闘への対応能力を高めることを目指している。対艦砲や長射程のミサイル、ロケット砲も強化されるという。

 元海兵隊大佐で、戦略国際問題研究所(CSIS)の国際安全保障上級顧問マーク・カンシアン氏は、再編計画について、「この部隊なら、中国軍を封じ込め、外に出るのを阻止できる。最終的には他の軍との合同作戦で本土にまで押し戻す」と指摘、「この大改革は、10年かけて練り上げられたもので、西太平洋での中国との紛争だけに焦点を合わせたものだ」とその意義を強調した。

(ワシントン・タイムズ特約)