トランプ氏、米中交渉で成果誇示
再選に向けアピール-第1段階署名式
トランプ米大統領は15日、中国との貿易交渉の「第1段階」の合意文書署名式で中国の劉鶴副首相ら代表団を脇で立たせたまま、約1時間にわたって成果を誇示した。大統領選に向けたアピールの場として、さながらトランプ氏の独り舞台となった。
「かつてない重要な一歩を踏み出した」「これは本当に画期的な合意だ」。ホワイトハウスで行われた署名式で、トランプ氏はいつにも増して饒舌(じょうぜつ)だった。
著名式には、共和党の上下院議員に加え、ボーイングやシティバンク、AIGなど十数の米企業のトップが参加。トランプ氏はこうした聴衆の一人ひとりに声をかけることに、演説の時間を費やした。
大手金融機関のトップに対しては、「最近、素晴らしい業績を発表した。少なくとも『大統領、ありがとうございます』ぐらいのことを言ってくれないか」などと軽口を述べ、笑いを誘った。
話題は中国との貿易合意からたびたび脱線し、弾劾訴追の決議への投票のため退席する議員に対しては、「何人かの議員は弾劾デマのために投票しなければならない。行かなければもっと深刻なデマになるだろう」と民主党を皮肉った。
トランプ氏はまた、不公正な貿易慣行の是正が「おそらく大統領に立候補した最大の理由だ」とした上で、「前任者たちと違い私は約束を守った」と胸を張った。
中国との交渉については「非常に美しいチェスかポーカーのゲームのようだ」と余裕も見せつつ、関税については「まだ残している。そうしないと交渉するカードがないからだ。第2段階が完了すれば、撤廃するだろう」と述べ、中国の構造問題などを扱う第二段階の合意でも関税をテコに譲歩を引き出す姿勢を示した。