北朝鮮は核放棄せず ボルトン氏、解任後初の講演


 ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は30日、米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、「現状では、北朝鮮が自発的に核兵器を放棄することは決してない」と指摘。北朝鮮の体制転換や軍事力行使などの選択肢を真剣に検討するなど圧力を強化することが必要だと訴えた。

ボルトン前米大統領補佐官

9月30日、ワシントンで講演するボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)(時事)

 解任されて以来、初めて公の場で発言したボルトン氏は、北朝鮮について「核兵器を維持し、発展させるために何でもするという戦略的決断をしている」と強調。北朝鮮が核実験や超距離ミサイルの実験を停止していることについて、核弾頭や長距離ミサイルを生産できる段階に入ったと判断したためだとし、「励みになる兆候ではなく、懸念すべきことだ」と述べた。

 また、制裁緩和前に核を放棄させる「リビア方式」の重要性を改めて強調。北朝鮮が求める「段階的非核化」について、「部分的な制裁解除は、核プログラムの一部停止と比べはるかに大きな意味を持つ」とし、安易な譲歩は核保有の容認につながりかねないと警告した。

 その上で、①北朝鮮の体制転換②中国と協議の上で民主的体制に基づいた韓半島の統一政権を樹立③軍事力の行使―などの選択肢を真剣に検討すべきだと主張。時を逃せば、北朝鮮が「ウォルマートやアマゾンのように」核兵器を世界に拡散させる可能性があると危機感を示した。

 ボルトン氏は、悪化する日韓関係についても言及し、「米国がこの問題について受動的だったことは失敗だ」と指摘。韓国による日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄について「同盟国と協調する米国の能力に影響を与えることは確実で、米国が注意を払うべき切迫した問題だ」と懸念を表明した。

(ワシントン 山崎洋介)